書店営業

初めて、「書店営業」というのに行った。
全社を挙げて辞書の宣伝をする、ということで、
編集部の私にも急遽、書店営業の分担がまわってきたのだ。
これまで教科書の営業で、全国各地の高校は訪問したのだけれど、
書店の訪問ははじめて。かなりドキドキ。


営業部から渡されたマニュアルどおりに、
書店さんの暇そうな時間を選んででかけたものの、
年末ということもあり、かなり混雑していて、とても話しかけられる雰囲気ではない。
なんとかタイミングをみはからって声をかけてみたが、辞書の担当者が不在だったりして、
なかなかうまくいかない。
営業ってむずかしいのね……と、営業部や販売部の人々の苦労に思いを馳せる。


でも、なんとか時間をつくっていただけて、本の話をはじめてみたら、
やっぱりなんていうか、「本好き」っていう人種(そんなものあるか!)同士で、
ひきあうものがあるというか、宣伝しなくちゃいけない辞書の話以外にも、
あれこれ話してしまったりして、あー、やっぱり楽しい!!と思った。
それに、平日の昼間の書店って、ふだん行かないから知らなかったのだけれど、
子ども連れのおかあさんや、お年寄りなどが大勢いて、
結構じゃんじゃん本を買っていた。(季節柄もあるのかもしれないけれど)
目の前で7〜8歳くらいの女の子が『オズのまほうつかい』を選ぼうとしていて、
思わず、「あ、その本おもしろいよ」と口を出したくなってしまったがこらえた。
書店営業は、案外楽しい。


とはいえ、「営業」で訪れた店では、買い物はできない、ということがわかった。
「○○社の編集の人が、こんな本を買ってった」などと笑われるのはかなわないので。
で、自宅近くの啓文堂で、「本の雑誌」最新号と、三崎亜記『失われた町』を購入。
さらに今日、またしてもお料理の本「いつでも野菜を」と、
ああ、もう出てしまった、古典新訳文庫の2冊、ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』、ミル『自由論』を、
泣きそうになりながら購入。