高井戸エキナカ書店のこと

2年半前に引っ越してきた現在の住まいの最寄り駅は、京王井の頭線久我山
いわゆる「本屋」と呼べるような店は、商店街に小規模だけれど遅くまであいている、いかにも「町の本屋さん」ふうの店が一軒と、
2年くらい前?に久我山駅の改装にともなってできた啓文堂書店、この二軒だけ(だと思う)。
通勤で毎日吉祥寺や新宿を通過しているのだから、ふだんちょこっとのぞく店としては、この二軒があれば十分、ともいえるのだけれど、
同じ沿線の同じくらいの規模の駅である高井戸のエキナカ書店の充実ぶりを思うと、
「本屋事情」に関しては、明らかに高井戸に軍配があがってしまう。
(さらに数年前までは、高井戸にはとてもいい古本屋もあったのだが、廃業してしまった(ように思う)。)


「広和書店」という名前のその店は、売り場面積じたいはさほど広くない。
でも、人文関係の本がすごく充実していて、わたしが「欲しいな」と思う本について言えば、
広大な面積をほこる吉祥寺の啓文堂書店よりもそろっているのではないか、と思うくらいだ。
中でも日本の文化・歴史関係、文芸評論などが得意分野らしく、
新聞広告などで目にしたけれど書店ではお目にかかれなかった、というような本に、
ここで初めて出会う、ということもしばしばある。
……といっても、じつはこの書店には、まだ通算4回くらいしか来ていないのだ。
いい店だなあ、と思ってはいるものの、
通勤とは反対方向に二駅乗らないと来れない高井戸、という町には、
そうめったやたらと足を運べるものではなく、
たまにくるときは高井戸駅近くの「美しの湯」に来るときで、
でも、家から自転車で来てしまうと、わざわざ自転車をどこかにとめて駅まで来るのも億劫だし、というわけで、
今日は久しぶりに、電車で「美しの湯」へ行こう、という企画だったので、
それでは、ということで、久しぶりにこのお気に入りの書店に足を踏み入れたのだった。


ところが今日のわたしの気分は、新刊の文芸書を買う、というほうには向かっていなかった。
なぜなら鞄の中に、中野康司訳の『エマ』が入っていて、これが抜群におもしろく、読みやすく、
ちょっと他の小説を手にとる気分にはなれそうにないのだ。
さらに、今日は、近々九州に旅行するという企画があるため、
るるぶ」などできるだけチャラチャラした感じのガイドブックを買おう、という腹積もりもあった。
で、ガイドブック売り場に行ってみたところ――。
なるほど、と思った。久我山啓文堂書店の、半分くらいの品揃えなのだ。
もちろん、「るるぶ」だって「たびリエ」だって、ちゃんとある程度は置いてある。
でも、どちらかというとそういうものより、エッセイ風の旅行ガイドや、こだわりの店ガイドのようなものが幅をきかしていて、
ただでさえ狭いスペースの旅行ガイドコーナーは、お世辞にも「充実の品揃え」とは言いがたいものだった。
そりゃ、そうだよねえ。
もともとの売り場面積が決まっているわけだから、
ある分野に力を入れれば、別の分野がしょぼくなる、当たり前の理屈なのだ。
「売れ筋」のベストセラー本や実用書をめったやたらと平積みにしてスペースをとるより、
地味でも内容の濃い(と思えるような)本を、地道に売っていこうという書店主の気概が感じられて、
なんだかとっても嬉しくなってしまった。
(といっても、西荻信愛書店南阿佐ヶ谷の書源ばりの「名店」ぶりを期待されると困ってしまう。
 一見、ごくごく普通の町の書店、だけど一味ちがう、というところが嬉しいのです…)


で、結局、ここで旅行ガイドを買うのをあきらめ、
かといって文芸書などを買う気にもならず、
「美しの湯」でぼんやりながめる用のきれいな本などないかなあ、とぼんやりまわっていたところ、
今の気分にぴったりのムックを発見。
以下の2冊。

着物の時間 (Magazine House mook)

着物の時間 (Magazine House mook)

着物の時間 2 (マガジンハウスムック)

着物の時間 2 (マガジンハウスムック)

もうしばらく、この着物熱は続きそうな気配だ。


一方、先日ここで書いた「朝バナナダイエット」だけれど、
はい、一応、続いてますよ〜。
と言っても、昨日、おとといと2日間、バナナが品切れで買えなかったので、
かわりにヨーグルトだの梨だのでしのいだんだけど。
「朝バナナダイエット」に関連しておもしろい事実を発見。
わたしが「朝バナナダイエットはじめたんだあ」と話すと、
聞いた人の反応が男女でまったく正反対だ、ということ。
うちの同居人を筆頭に、知り合いの翻訳家や、年下の同僚など、男性は皆、
「へえ、まあ、がんばってね」という、ひややか〜なスタンス。
ところが女性たちは、職場の後輩、労働組合の大先輩方、着付教室の先生、など、
世代を問わずだれもが一様に、目をきらきらさせて、興味津々。
「え、それでどうなの? 痩せた?」
「今、何日目?」
「朝食をバナナに変えるだけでいいの? バナナがないときはどうするの?」等々、
ものすごい勢いで質問をしてくる。
この違いは、どこから出てくるのだろう。
いずれにせよ、男性たちの冷たい視線に一矢を報い、女性たちの熱い期待にこたえるためにも、
がんばって「目に見える成果」を出すぞぉ。
(……といいつつ、現在既にルールの一つ、「12時前に就寝」を破っている……)