だいぶつかれた

2週間の営業活動が終わった。来週も1日か2日、終日営業活動にあたらなくてはならないが、とりあえず連日朝から夜まで営業&長距離移動、の生活からは解放される。だいぶ、つかれた。やはり年をとってきたのかなあ、と思う。毎日指定された待ち合わせ場所へ行き、現地の営業ウーマンと営業場所へ向かう、というシステムなので、1日たりとも気を抜くことはできない。彼女たちががんばって種をまき水をやっているところを、わたしが踏み荒らしてしまったら大変なので、説明にも自然と力が入ってしまう。宣伝している本への思い入れも格別なので、なんとか短時間で良さを伝えようと必死になる。でも、現実には営業先の方々は「早く終わらないかなあ」と思っていることも多々あるだろう。そのことにはっと気づいて、あわてて話を切り上げたりもする。

1日の仕事が終わり、駅で営業ウーマンの車を見送り、一人きりになった瞬間、あまりにくたびれてしまって、涙が出た。仕事がいやなわけじゃない。いっしょに仕事をしている人たちも大好きだ。もっとがんばらなくちゃ、自分はもっとできるはず、と思っているのに、体力が自分の思いを裏切っている。あー、この感じは、高校時代の部活の疲れに似ている。やっているときは自分の体力の限界ぎりぎりまでがんばる。で、家に帰ってきてほっとした瞬間に、突然涙がぽろぽろ流れてきて、あれ、なんでないてるんだろーへんだなーと思うんだけど、涙が止まらない、ということが何回かあった。あれに近い。まあ、高校時代とはくらべようがないくらい体力も落ちてきているわけだし、ずっとトップギアで走り続けていきなりバタン、と倒れてしまうと周囲に迷惑をかけることになるだろうから、少し力を抜くことを考えたほうがいいのだろう。(力を抜くのであって手を抜くのではない。念のため。)


そんなわけで、グレアム・グリーンの短編集がまだ読み終わらない。でも、噂の古典新訳文庫『すばらしい新世界』は、発売日に買った。いっしょに、あちこちのブログで話題になっている、河出のムック「特集 山田太一」も買った。こちらはぱらぱらと読んでみたけど、なるほど中身が濃く、充実していておもしろい。自分が編集の仕事をしているせいか、『すばらしい新世界』にしても『特集 山田太一』にしても、あー、きっと担当の編集者はこの本つくってて楽しくてたまらなかっただろうなあ、なんてことを考えたりする。そういう意味では、このたびエッセイストクラブ賞を受賞した『S先生のこと』もそうだ。わたしはブログ連載時からずっと読んでいて、単行本になるといいなあ(でも無理だろうなあ)と思っていた作品が、すばらしい造本装丁の本となり、大きな賞まで受賞したのだが、著者はもちろん、担当編集者の熱い思いがあったからだろう、と思う。サラリーマンでもフリーランスでも、通常、編集者にとって本の売り上げは自分の収入には直接ひびいてこない。だから、というわけでもないのだが、編集者は損得勘定ぬきで、手がけている本への愛情だけで、編集や販売に夢中になる。


あー、そういえば昨日だったか、営業先でとても魅力的な方に出会った。まだ20代とおぼしき女性なのだが、実にいい表情で、楽しそうに、自分の仕事の話をする。わたしが販売促進している本のことにも興味津々で、相づちに打ち方がうまいのか、ついわたしもいい気になって、営業と関係のない話まできゃっきゃっとしてしまった。そうしたら彼女はにこにこしながら、「◯◯さん、仕事楽しいでしょう?」とわたしに言ったのだ。で、やや面食らいながら、「え、ええ、まあそうですね、こういうことを考えるのは楽しいですね」と答えたら、彼女はケラケラと笑って、「でしょー、楽しくてたまらない、って顔しているもの」と言った。


明日は会議、月曜日火曜日は神奈川、静岡の出張。でも、日曜日はまる1日休めそうだ。やっぱり温泉かなあ。