迷走中。
今日、日曜日は予想外に天気がよかったので自転車で吉祥寺へ。
「20世紀少年」を観る。わたしは漫画をほとんど読まないので原作のことも何も知らず、
あまり期待していなかったけれど、おもしろかった。
描かれている少年時代は、わたし自身より3,4年前かと思うけれど、十分に理解できる。
ということはそのまま、主人公たちの「現在」に対する思い(あきらめとか戸惑いとか、もろもろ)も、
十分共感する、ということだ。
ストーリーはもちろん、荒唐無稽なんだけれど、ぐんぐん引き込まれる、という点ではやっぱりさすが。
文学は、こういうところでは漫画や映画にはまったくかなわないなあ、と思う。
(もちろん、だから文学はだめ、という話ではない。)
昼食のあと、まっすぐ帰ってもつまらないので、「ちょっと」のつもりで本屋へ。
吉祥寺の新刊書店は、そのときの気分や目的にあわせ、啓文堂、パルコ、駅ナカの3店をぐるぐるまわっているのだけれど、
今日は以前よくいった「ブックスルーエ」へ。
何年か前に改装してから、ぐっと普通の本屋さんっぽくなって、足が遠のいていた。
で、今日行ってみて、さらにその思いは強くなった。
西荻の信愛書店も、神保町の東京堂ですら、改装をするたびに、文学・人文関係の本のスペースが狭くなって、
レイアウトやポップのたてかたも普通っぽくなっているように思う。
でも、そうだよね、ショーバイなんだから、売れなくちゃいけないんだもの。
国語の教科書だって、以前にくらべて「個性がなくなった」「どこのを使っても同じ」とお叱りを受けることがあるけど、
「あんまり個性的だと売れないんですよ……」って言いたくなる(もちろん言わないけど)。
……などと文句を言っているわりには、次に読む本が決まっていないという自分の状態もあって、
単行本1冊と雑誌3冊を購入。
単行本は恩田陸の新刊。
雑誌は、「新潮」「大航海」「文藝春秋別冊」。
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文藝春秋SPECIAL (スペシャル) 2008年 10月号 [雑誌]
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恩田陸は同世代の女性作家の中ではとくに注目している。
いろいろなジャンル、作風の作品があって、どれもおもしろく読めるという点で、すごいなあと思う。
恩田陸、江國香織、吉本ばななは、私と同年生まれ。
作品によって好き嫌いはあるけれども、読書テンションが下がっているときでも、安心して読める作家たちだ。
雑誌の特集はそれぞれ、「新潮」は「源氏物語」、「大航海」は「1980年代」、「文藝春秋」は「素晴らしき日本語の世界」。
どれも、わたしの現在の、あるいは未来の仕事と密接に、あるいは微妙に、関わっていて、
こういう雑誌の特集名を見ただけで、あわててばたばたっと3冊まとめて買ってしまうあたりに、
わたしの迷いというか、どこへ向かっていけばいいのかわからず指針を求めている情けない姿が露呈されている。
でも、テレビを見ながらぼんやりとながめているだけでも、
「新潮」の「源氏物語特集」で、江國香織が描く夕顔が「だって、たのしかったもの」(13ページ)と言うのに感心したり、
「大航海」の冒頭の柴田さんの短篇小説(エッセイ?)を楽しく読んだり、
「文藝春秋別冊」の丸谷さんの教科書批判「教科書は批評を浴びることがないから、あんなにひどいことになった。
ことに日本語の教科書ね。それから日本語の入試問題。」(64ページ)に平伏したり、と、大忙しだった。
今日の「20世紀少年」じゃないけど、子どものころは、大人になったらきっと、しっかりと自分の考えをもって、
自分のやっていることに自信があって、大小さまざまな社会と上手にかかわりながら生きていくんだろうと、
思っていたような気がする(もちろん、こういう言葉で考えていたわけじゃないと思うけど)。
ぐずぐず言っている間に、週末が終わってしまう。
まずは恩田陸の小説から読み始めようかな。