古典新訳文庫『海に住む少女』

読了。

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

あとがきに「フランス版宮沢賢治」と書いてあったので、
あ、苦手かも、と思ったのだけれど、これがなかなかよかった。
ファンタジーなのだけれど甘ったるくなく、どちらかといえば後味は苦くて、
でも、決して不快ではない。切ない感じ、というのがいちばん近いことばかもしれない。


表題作「海に住む少女」はもちろんよかったのだけれど、
他の作品もどれも楽しめた。
「飼葉桶を囲む牛とロバ」「セーヌ河の名なし娘」「ラニ」がとくによかったかな。
翻訳も奇をてらったりせずに淡々と訳しているところが、作品にあっているような気がした。
ものすごい広がりと奥行きのある世界を描くのに、「ですます」調のやさしいことばづかいがぴったりで、
あとがきに載せているシュペルヴィエルの「動き」の訳詩は、教科書に載せたらどうかしらと思ったくらい。
(昔、堀口大學訳で教科書に載ってたらしい。広がりのある、いい詩。)
さすが、「古典新訳文庫」は翻訳者の選び方がうまい。


そういえばこの間光文社のHPで、「古典新訳文庫」の翻訳家を中心にしたセミナーが、
早稲田のエクステンションセンターで開かれることを知った。
ものすごく行ってみたいけれど、土曜日の午後って、会議が入ることが多いので、断念。
でも、とにかく読み続けるだけなら仕事がどんなに忙しくても可能なわけだから、
がんばって全冊読破しよう。(カントはいんちき読破だけど)


次はレーニン。ちょっとキビシイかもしれない。
なので、レーニンに取りかかる前に、『デザインのデザイン』『夏の力道山』を読むことにする。
で、年末年始に、ブロンテ、ディケンズゴーゴリを読む。考えただけでわくわくするなあ。
あ、でも大掃除もしなくちゃ。年賀状も。