お盆休み

昨日はテニスのあと半日だけの里帰り。
鎌倉(大船からバス)の実家へは、湘南新宿ラインができて少し距離が縮まった感じ。
そのわりには、ほとんど帰っていない親不孝むすめだ。


旭川に転勤になった兄も帰ってきていて、久しぶりの一家団欒。
我が家で人気の話題は、いつも食べ物と旅行だ。
両親が旭川に行ったときに兄が連れていってくれたという旭川の寿司屋がいかに美味しかったか、
という話題で、ゆうに30分は盛り上がる。
その後も、どこの何が美味しいか、ということを、それぞれに披露しているうちに、またたくまに時間が過ぎた。
わたしは兄も妹も連れて行ってもらったという鎌倉山のローストビーフをまだ食べていないので、
近いうちに必ず、連れて行ってもらう約束をする。
そのときは、着物を着ていくのだ。


続けてスポーツの話題。兄は週に3回ほど、スポーツクラブで泳いでいるという。
父はスポーツクラブと自宅周辺で毎日1時間のウォーキング、母は週2回のゴルフレッスン。
わたしが週1回のテニススクールの話をすると、
「それくらいでは絶対に痩せない」と一斉に責めたてられた。
同居人の自転車通勤が続いていることを話すと、
「見習いなさい」と兄が言う。
「mariは昔から、一人黙々と走るとか泳ぐとか、そういうのが嫌いだったからなあ。
なんか、競技性がないとだめでしょ、勝負がかかるとか、相手をたたきのめすとか」
はい。そのとおりです。


「最近、何を読んでるの?」と両親にふると、
父は中央公論の「世界の歴史」を、順に読んでいると言う。
兄が、「あ、ぼくも第1回配本を読んだけど、実はちょっと肌に合わなかったな」と言う。
世界の歴史を現代社会と関係づけながら描いていく手法が、
どっぷりその世界に浸りたい兄には合わないのだそうだ。
母は相変わらず村上春樹を読んでいるそうで、
1Q84」は、BOOK3も当然読んだが、やはりいまいちぴんとこなかったとのこと。
「あの人の小説には、糠味噌や嫁姑の確執なんて、絶対に出てこないのよ。
主人公はお番茶なんて絶対飲まなくて、いつだってコーヒーを飲んでるの。
都会に住んで、コーヒー飲んで、恋をして、で、あくせく働いてなくて、なんかぶらぶらしてるのよね」
なかなか母らしい観察で、思わず笑ってしまった。
よく言われている「村上ワールド」の話だが、糠味噌、嫁姑、お番茶、というアイテムの選び方がなかなかいい。


日付が変わるころに帰宅。前回のブログの内容をめぐり、同居人とあれこれ話す。
それで少しわかったのは、日常生活を送るうえでは、「なぜ」という疑問など持たなくても別にいいんだ、ということ。
わたしがブログであげた例は、すべて日常的な「おしゃべり」のレベルで、
たとえば「一人自転車旅行が趣味だ」という話に対して、批判的に切り込む必要なんて、まったくないのだ。
オースティンが好きだ、という話も、イメージとしては飲み屋での他愛のないおしゃべりで、
人が「いい」と言っているものを、あえて批判する必要はない。
時折、こういうときにことごとく批判的な意見を言う人もいるけれど、
まあ、わたしはそういうキャラクターではないし、
相当知性あふれるコメントでないとマイナスの意見や感想というのは光らないものだ。
で、大事なのはやっぱり、日常的なおしゃべりではなく、
学問や仕事の席で、何らかの判断や成果を期待している場合の頭の働かせ方。
たしかに、この原稿をなんとしてもブラッシュアップしなくちゃいけない、とか、
作品Aと作品Bのどちらかを選ばなくちゃいけない、とか、
わたしが毎日のようにやっている作業では、
常に「なぜ」に代表されるような、批判的・分析的なつっこみを要求されている。
で、そのときにわたしが日常的なおしゃべりと同じように、
「まあ〜人それぞれだから〜、相手の思いを尊重してえ〜」なんてのんびりしているかというと、
まったくそんなことはないよね。
編集者のタイプとしては、かなり著者寄りというか、プラス評価から入っていく方だとは思うけれど、
それでも結果的には、結構ばさばさと切り捨てたり、キツイことを言ったりしているような気もする。
こんなふうに日常生活と仕事とで使い分けているのだから、
まあ、そんなに悲観することもないのかもしれない。


今週末くらいは、お盆休みらしく仕事のことを考えるのはやめよう、と思っていたのに、
同居人との会話が表現活動や言語教育の話に発展してしまったため、どんよりとした気分で就寝。
今日は午前中から着付教室へ出かけた。
帯の柄や結び方によって、柄じまいから60センチ、とか、手先に向かって体一巻き分、とか、
いろいろ約束ごとがある。
休み休みの受講になっているわたしは、この約束ごとがなかなか覚えられなくて、
そのたびに先生の指示を待つことになる。
待っている間に、ああ、こういうのも、むやみに暗記するんじゃなくて、
理屈というかしくみを理解したほうが、実力がつくんだろうなあ、なんて考えた。
ああ、自分の頭の悪さをめぐっての、堂々めぐりである。


千歳烏山駅前の「京王書房」がなくなってしまったため、烏山の町に行く楽しみが減ってしまった。
書店はほかに2軒あるが、どちらも小規模。わざわざ京王線に乗って仙川の書源まで行く元気はないし。
今月から通勤ルートを千歳烏山経由にしようかと思っていたのだけれど、
いい本屋がない町っていうのはどうもなー。新宿を通るのだからそこで本屋に寄ればよいのかもしれないけど。
というわけで、千歳烏山経由か、吉祥寺経由か、まだ迷っている。
風の噂で、吉祥寺の伊勢丹跡地にできるビルの中に、ジュンク堂が入ると聞いたんだけど、どうなんだろ。
そうなるとやっぱり、吉祥寺まわりのほうが魅力的かなー。


現在読書中なのは、『ブリキの太鼓』。
なかなか面白いのだけれど、なにしろ分厚くて重いので持ち運びができず、
自宅でしか読めないので進まない。
明日は京王永山の温泉に行く予定だから、持っていってじっくり読むことにしよう。