本1冊とDVD3本

中島京子『イトウの恋』読了。

イトウの恋

イトウの恋

ものすごく好きそうな本なのに、わたしのツボとは微妙にずれていて、ちょっと残念。
中年のイギリス人旅行家I・B(イザベラ・バード)と通訳の日本人青年の恋っていうメインストーリーと、
現代の冴えない男女のサブストーリーとが同時進行で語られるのだけれど、
サブストーリーのほうがなんていうか、騒々しい感じがして、メインストーリーに集中できなかった。
ただ、解説で鴻巣さんが書いているように、イザベラ・バードに注目するってところが秀逸。
同じ作者の『FUTON』が未読なので、次はこちらを読んでみようかな。


DVDで映画を3本観た。

童貞放浪記 [DVD]

童貞放浪記 [DVD]

クヒオ大佐 [DVD]

クヒオ大佐 [DVD]

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]


まず、「童貞放浪記」。
私小説を読むのと、私小説を原作にした映画を観るのとで、
こんなにドキドキ度が違うとは思わなかった。
小説だと自分の想像力の範囲内で、想像したいことだけ想像して読むからだいじょうぶなんだけど、
映像になってしまうと妙に生々しくエロチックで、まいった。
主人公の青年のどぎまぎする様子とか、実家で寝転がって本を読んでいる姿とか、タバコを吸うしぐさとか、
うーん、いかにも東大出のもてない文学青年って感じで、説得力があった。
主人公が憧れる女の子のエキセントリックな感じも、小悪魔的なところも、わかるわかる、と思った。
(けど、あの女優さんはちょっと可愛すぎるし、胸も大きすぎるんじゃないかな……こんな幸運はふつうはおとずれないと思う)


クヒオ大佐」は結婚詐欺師の話で、
なんでこんな男にひっかかるのかなー、というところが、やっぱり最後まで腑に落ちなかった。
コメディっぽくつくっているようなんだけど、真面目なような気もして、ちょっと中途半端かな。
少なくともわたしは、こういうすかした感じの男にはぜったいに惹かれないので、
お金を出すとか出さないとかいう以前に、はあ? という感じになってしまいそう。
むしろ弱っているときにひっかかるとしたら、「童貞放浪記」の主人公のほうだろう。


それでもボクはやってない」は、よくできてる映画だなーと思った。
主人公の男の子も含め、役者さんがみんなうまくて、脚本もよく練られていて説得力があった。
ラストが(ネタバレになっちゃうから書かないけど)そうかーと思った。
今日観た3本の中では、この映画がいちばんおもしろかった。


おまけ。
連休中、あちこちで美味しいものを食べたけど、
なんといってもおいしかったのは、美食で知られるN先生ご推薦という幡ヶ谷の中華料理。
わたしはおいしいものを食べると、「あー、これを○○に食べさせたい」と思う癖があって、
今回は、転勤で旭川に行ってしまった兄に、ぜひ、食べさせたいと思った。
あと、最近大きな仕事を終えた会社の後輩Hさんの顔がなぜか浮かんだ。
おいしいものやおもしろい本、おもしろい人に出会うと、すぐにだれかに紹介したくなってしまう。
これは、編集者のサガってやつでしょうか。