『デイヴィッド・コパフィールド』読了

ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(石塚裕子訳・岩波文庫)を、予定どおり、この週末で読了。

デイヴィッド・コパフィールド〈5〉 (岩波文庫)

デイヴィッド・コパフィールド〈5〉 (岩波文庫)

うーん、大変おもしろくて、どきどきわくわくさせられるんだけど、
全5巻の大作を読み終えたときの達成感とか、胸にズドーンと残るような感じは、正直なところなかった。
読了に思った以上に時間がかかってしまったのも、
この水戸黄門的な勧善懲悪、予定調和のストーリー展開に、
だんだん飽きてきてしまった、ということのように思う。
登場人物ももちろんそれぞれに強力で、
ユライア・ヒープの感じ悪さとか、マードストン姉弟のイジワルぶりとか、
ドーラのしょーもない感じとか、そのほか、数え切れないほどたくさんの個性的な人物が登場して、
それが絶対ありえないような言動をとる。
で、多くの人がそうかもしれないが、わたしもまた、この登場人物の中の、スティアフォースなる人物に、
登場早々、デイヴィッドともども、惚れてしまった。
でも、デイヴィッドの1人称なので、スティアフォースの心の中がどうなっているのかは、まったくわからない。
わたしは、スティアフォースの話を聞いてみたい。
ユライア・ヒープやマードストンの言い分や、ドーラの心境を聞いてみたいとは全然思わないけれど、
スティアフォースからは、どうしてああいうことになったのか、ちゃんと話を聞いてみたいのだ。
これだけ有名な作品だから、そういうこと試みた人がいるんじゃないかな〜と思ったりもするけど。
(わざわざ調べてみようと思うほど、この小説に思い入れはないので、言いっぱなしです。)
全体として翻訳はほとんど気にならなかったので、きっとうまいんだろうと思う。
こういう作品だから、翻訳が変に学問的に力が入ってたり、割注だらけだったりすると、悲惨!なことになるんだけど、
この岩波文庫版は、そういう心配はまったくなかった。


昨日はクミアイ活動で午前・午後とつぶれてしまった。
夕方から服でも買おうかと吉祥寺のデパートへ。
2つのデパートの洋服売り場をかなり長い時間うろうろしたんだけど、
どうも「買おう!」という気にならなくて、結局何も買わないまま、パルコの本屋へ。
本屋に入った瞬間、やっぱりほっとするんだよね。
洋服売り場のおどおどぶりとは大違いで、すーいすいと売り場を歩き回り、
気になった本をちょっと手にとっては戻し、時折、売り場の本の乱れを直したりなんかして。
小一時間くらいあちこち見て、結局、文芸誌を1冊と青山七恵『かけら』を手にレジへ。
またしても洋服を買わずに本を買って帰ってきちゃったけど、
うーん、明日からまた着たきり雀でどうするんだよー。
本なら家に未読本が山ほどあるだろー。
……と自分を責めながら帰宅。


次に読む本は、『かけら』か『ヘブン』か。話題作っていう意味からいえば、『ヘブン』かな。