キンドルを使ってみた

先週の土曜日、アマゾンの電子書籍リーダー、「キンドル」が届いた。
いやあ、おもしろい。


この「おもしろい」っていうのが曲者で、「便利だ」「役に立つ」というのとはちょっと違う。
ただ、ものすごくおもしろい新型のおもちゃ、って感じで、
土曜日の夜からずっと暇さえあればこの「キンドル」を、こちょこちょいじって楽しんでいる。


まず、評判どおり、画面はものすごく見やすい。
PCの画面のような、目が疲れる感じはないし、喫茶店などやや薄暗いところでも、十分に読める。
「見やすさ」という点では、紙の本と遜色ない。
読んでいる間、紙を押さえる必要がないので、ペーパーバックより読みやすいように思う。


amazon.comでクレジットカードの登録をしてしまえば、
電源をいれてすぐ、買い物ができる。
新聞・雑誌は14日間の無料試読が、
書籍は1章分の試し読みができるので、
気楽にあれこれとトライできるのも魅力。
わたしはあちこち見てまわった結果、
The Mainichi Daily News と、
The Times Literary Supplement を無料試読し、
William Trevor"Love and Summer" と、
Jane Austen"Mansfield Park" のサンプルをダウンロードしてみた。


ふだんからアマゾンでの買い物に慣れている人なら、
なんの戸惑いもなく簡単に、英字新聞・雑誌・洋書のテキストを入手することができる。
今までのところ、「キンドル」そのものの価格以外には、通信費も含め1円もかかっていないし、
正式に購入したとしても、書籍1冊3ドル、TLSだって月8ドル。
知らない単語にカーソルをあてるだけで、自動的に内蔵の辞書The New Oxford American Dictionaryにリンクして、
語義が表示されるのも魅力。
翻訳やリーディングをびしばしやっていた頃だったら、
間違いなく「便利で役に立つ」道具になったことだろう。


ただ、今は英語の仕事をしているわけではないので、
この「キンドル」のすごい機能も、使いこなすだけの英語読解力がなければ、はっきりいって何の意味もない。
あるいは、もしかしたら、「これを使いこなせるくらいの英語読解力をつけたい」という人が、
キンドルの一番の購買者層なのかもしれない。
というわけで、わたしにとってのキンドルは、この4、5日、いろいろさわってみた結果、
「ものすごくおもしろい新型のおもちゃ」という印象となった。
スリープの画面の挿絵もそれっぽくておしゃれだし、
わたしは使ってないけど音声を出したり書き込みをしたりという機能もあるらしい。
わたしにもう少し向学心や野心があれば、
「英語読解力をつけるための格好のツール」とか、
「視野を広げるための文化的新メディア」とか、思うのかもしれないけど、残念ながらこちらのパワーがそこまでは至らず……。


キンドルが到着した土曜日は古文の会議。
日曜日は国立能楽堂狂言鑑賞。お天気がよかったので着物で出かけた。
月曜日はカザルスホールでクラシックのコンサートへ。
火曜日の夕方と水曜日の朝は、クミアイ活動に従事。
結構、いそがしかったうえに、キンドルではしゃいでいたため、読書はぱったりと止まっていた。
で、さきほどやっと、『デイヴィッド・コパフィールド』の第1巻を読了。

デイヴィッド・コパフィールド〈1〉 (岩波文庫)

デイヴィッド・コパフィールド〈1〉 (岩波文庫)

ストーリーはめちゃくちゃおもしろいし、翻訳も結構うまいのだろう。
うーん、やっぱり日本語読書は楽チンだ〜!
まあ、ディケンズなんて原書に挑戦する気ははなっからないんだけど。