なにげないが完璧な1日

久しぶりの予定のない休日。
遠出するのはちょっと……という気分になって、
結局、高井戸まで自転車で出かけた。
高井戸駅前の回転ずしがめあて。
好きなネタを気ままに頼み、おなかいっぱい食べたのに、会計は、驚くなかれ、一人あたり1020円。
この安さでこの味、というわけでこの回転ずしは地元で大人気。
あっという間に満席になり、外に列ができていたので、食べ終えたらそそくさと店を出る。満足。


同居人が高井戸のごみ焼却場の塔に行ってみたいというので、
自転車をおいたまま歩道橋を渡る。
ごみ焼却場の熱を利用した温水プールがあるらしいが、今日はお休み。
入り口の前で、小学生低学年くらいの子ども3人と、途方にくれた様子のおとうさんに出会った。
子どもたちは「サイテー、サイテー」と繰り返している。
子どもたちの肩にはそれぞれ色とりどりのプールバッグが。
あの人のよさそうなお父さんは、どうやってこの危機をのりこえるのだろうか……


ごみ焼却場の隣の杉並区営リサイクルショップをのぞく。
ダイニングテーブルも食器棚も、飾り棚も、びっくりするほど安い。
でもうちには、このような大きな家具を置くような、スペースがないのだよ。
何しろ「本さま」が北側の部屋をふた部屋、占領していらっしゃるので。


自転車に乗って、緑地公園へ向かう。
善福寺川沿いを利用した縦長のこの公園は、桜の季節は花見の名所で混み合うけれど、
ふだんは地元の人が散歩したりジョギングしたりしている、のんびりした公園。
お天気はいいけど、風は結構ひんやりとして、いい気分で自転車を走らせる。
このまま和田堀公園まで行くのかなあ、と思っていたら、同居人が予想外に早く左折。
あれっと思ったけどそのままついていって、やがて、目的地がわかった。
――南阿佐ヶ谷の書源、だ。


お店に入ると、自然に別行動になる。
30分くらい経過したころ、手に3冊ほどの本を持って頬を紅潮させた同居人に遭遇。
「この本屋、だめだ。こんなところにいたら、本を買いすぎてしまう」のだそうだ。
わたしはついつい仕事モードが抜けきらず、自分のための本を選べなかったのだけれど、
それでも書源にいた1時間半(もっといたかな?)、幸福な時間を過ごす。
この本屋が毎日通えるところにあったらどんなにいいか、と話し合いながら、
自転車を西荻窪方面へ走らせる。


西荻窪の「ぼぼり」でしぼりたて牛乳のアイスを食べる。
いったん家に帰り、一休みしてから大好きなスーパー「さえき」へ夕食の買い物に出る。
今夜のメニューは、野菜と魚介の天ぷら、松茸のどびんむし、枝豆、つるむらさきのおひたし。まるで料亭のよう。
どれもたいへんよいできばえで、満腹になってテレビをつける。
3時間のお笑い番組があり、けらけらと他愛なく笑い転げているうちに夜も更けた。


なにげないが、完璧な1日。
書源のレジ横にあって、まあ、やっぱり読んでおくか、という感じで買った下記の本、
とばし読みにて読了。

国語教科書の中の「日本」 (ちくま新書)

国語教科書の中の「日本」 (ちくま新書)

あまりに業界が近いので、詳細なコメントは避けるけれども、
全体としては、まあ、おもしろかった。
著者が小中学校の国語教科書をすべて熟読してのぞんだという心意気は買うけれども、
一つ一つに対するコメントの部分より、
全体的な印象や意見を書いている部分のほうが、よく書けているように思った。
具体的な批判やコメントは、前作のほうが辛辣で切れ味がよかったような気がする。
次は高校の国語教科書について書いてみるつもりだ、というから楽しみだ。
高校国語教科書でトップシェアを誇る出版社の編集委員だった著者が、
同じく高校の国語教科書を刊行している出版社から、「教科書比較本」を出す、というわけだから。


あと、久しぶりに文芸誌を買ってみた。

群像 2009年 10月号 [雑誌]

群像 2009年 10月号 [雑誌]

書評はおもしろいのがあったけれど、全体としては、うーん。
小説はどれも、最後まで読んでみたいという気分にならなかった。残念。