ひさびさの書原

連休3日間で、実家の引っ越しはほぼ完了。最終日の今日は、天気もよかったので、自転車で善福寺緑地公園経由で書原の本店へ。緑地公園も書原も、かなり久しぶりだ。


お天気がよかったこともあって、緑地公園までのサイクリングはとても気持ちがよくて、ああ、毎週こんなふうに休日らしい休日が過ごせたらいいのに、とつくづく思う。いったん休んでしまうとそう思うんだけど、これがまた会社に行ってみるとぶわわわーっと仕事が押し寄せてきて、こなしきれなくなって、残業、休日出勤、となってしまうんだよなあ。いまも明日からの予定を考えただけで、どんどん気持ちが重くなっていく。著者からもらった原稿を読んで整理したり校正したりするのはかなり好きだし、扱っている本の分野も自分の興味にぴったりとあっているし、職場の人間関係は良好だし、気持ちが重くなったりする理由なんてなさそうなものだけど、なにしろなんだかんだと雑用が多くて、わわわーっと雑用をこなしてるうちに、あっという間に、へたすると原稿やゲラを一行も読まないうちに、18時の鐘が鳴ったりする、というのがつらい。このままでは絶対に終わらない、終わらなかったら大変なことになる。著者の先生方も、職場の後輩たちも、アルバイトの人たちも、みんながんばってくれているから、「大変なこと」になる前に、なんとしても手を打たなくちゃいけない。そんなことが頭の中をぐるぐるまわっている。


おっと、仕事のことを書くつもりはなかったのに、つい書いてしまった。緑地公園でおいしい空気を吸ったあとは、頭と心においしい空気をいれてあげるため、書原へ。さすが本店、裏切らない品揃え、本の並べ方。小一時間ほど楽しいときを過ごした。入口近くの「旅本」コーナーにチャトウィンの文庫本が平積みになっていて嬉しい。いつもブログを見ている方が心に残るコメントを書かれていた『復興の書店』を購入。続いて、中公新書の新刊『アイルランド紀行』を。アイルランドはいま一番行ってみたい国で、著者はアイルランド文学の翻訳などもある英文学者、この本を読まない手はない。スコット・トゥローの新刊「無罪」が平積みになっていて、「あの『推定無罪』から20年」というコピーにびっくり。ええーっ、もうそんなに経ってるの? 当時は翻訳家をめざして勉強中だったから、ベストセラーになったこの本はもちろん読んだ。上田公子さんの翻訳も評判がよかったし、うまいなあと思った。そうかあ、20年も経つんだ。翻訳、上田さんじゃないんだ、と思ってネットで検索してみたら、上田さんが昨年亡くなっていたことを知る。81歳、とあった。ああ、時が経つのはほんとうに早い。(評論家の上田紀行は息子さんだそうで、またまたびっくり。)この「無罪」は文庫になってから買うことにして、買おうか迷っていた「本の雑誌」の最新号(国書刊行会特集)を、結局購入。だいたい読みたい記事は立ち読みしちゃったんだけど、こういう読者ばかりだとこういう貴重な雑誌が生き残れないかも!と思って、ひざびさにちゃんと買ってみました。立ち読みでは読まない読者投稿欄なども目を通すと、昔ながらの「本の雑誌」の良さがじわじわっと伝わってきて、なんだかほっとした。


書原で頭と心においしい空気をいれたあとは、おなかにおいしいものをいれるために荻窪の海鮮料理店へ。奮発して「特上海鮮丼」を注文。なごみの湯でお風呂とマッサージを堪能したあと、ちょっとだけ寄り道をして噂の古本屋「西荻窪モンガ堂」へ行ってみた。ほほー、なるほど、文学好きにはたまらない品揃え。うちの同居人の部屋の本棚にそっくり。今日は書原で買い物をしてしまったので、「見るだけ」だったけど、青梅街道沿いのわかりやすい場所にあるので、自転車で「なごみの湯」に行った帰りには、定番の立ち寄りコースになりそう。大好きなアイスクリーム屋ぼぼりで、シークワーサー味のアイスを食べて帰宅。両親のことが心配になって、のぞきにいったところ、もうすっかりくつろいで、近所のスーパーに買い物に行って、ふつうに夕食の支度をしていた。ちょっと安心。一方、我が家の夕食は、同居人ががんばって栗をむいてくれたので、とびきり美味しい栗ごはんを。もうかなり眠いけど、寝ると朝がきてしまう、明日になってしまう、会社に行かなくてはいけない、だから寝たくない、とくだらないことを言い合いながら、夕食後のひとときを過ごした。ああ、でもそろそろ寝なくちゃ。現在の携帯本は「文学を凝視する」(書原の棚にはもちろんありました!)と「ねじの回転」。同時進行で読書中。仕事のことをくよくよ考えないためにも、ちょこっと読書してから寝るとするか。