芥川賞受賞作など読んでみた

書店に山と積んである単行本『終の住処』。
何度か手にとったのだけれど、ぱらりとした本文組を見てなんだかモッタイナイ気がして、結局買わずにいた。
でも、「文藝春秋」だったら790円だし、この作品がもしつまらなくても、他の記事も読めるし……という、
せこい考えで、久しぶりに「文藝春秋」の9月号を購入。

文藝春秋 2009年 09月号 [雑誌]

文藝春秋 2009年 09月号 [雑誌]

44歳(同い年!)、三井物産社員(わたしが若い頃勤めていた会社はライバルのM商事)という作者のプロフィールにもひかれ、
ちょっぴり期待して読み始めたのだけれど、うーん、わたしには残念ながら、おもしろくなかった。
なんとなくすごく好きそうな話だし、文章も落ち着いていて、でも気取ってなくて、好感は持てるんだけど、
なんか心の中にすうっと入ってこない。主人公の男も、「妻」も、「女」たちも、存在感がない。
いや、幻想文学っぽい作品(毎日「満月」だったりとか)なのだから、リアリティーなんかなくてもいいのかもしれないけど、
それでもやっぱり、登場人物やストーリーに、なんとも言えずひきずられちゃう、みたいなところがなくて、
ふーん、という感じだった。
だから、単行本を買わなくてよかった、と思う。たぶん、わたしが相性悪いだけだろう。結構売れてるみたいだから。


仕事に役立つかな、と思って文庫本を2冊購入するも、
自宅でぱらぱらと見てみたら、まるで使えそうになかった。後悔。
仕事が小学生向けの本から高校生向けの本に変わって、それはそれでめでたいことなんだけど、
プライベートで本屋にいっても、つい、仕事向けの本をさがしてしまう、というのが難点。
しかも、3年以上この仕事を離れていたため、おそろしく勘がにぶっていると思われる。
復帰まで時間がかかりそう。出費覚悟の荒療治が必要かも。


今日の着付教室は、「装いの調和」という講義。
これは半年に1回くらいある、着付教室のイベントで、
講師の先生方が私服の着物を使って、ミニ・ファッションショーのようなものを催してくれるのだ。
どんな季節に、どんな着物を、どんなふうに組み合わせて着るか。
全部で15とおりくらいの組み合わせを見せてもらったのだけれど、
どれもほんとうにすてきだった。
一着一着に作り手の思いが感じられるし、高価なものだから当たり前なんだけど、先生方は一枚の着物をとてもだいじに着ている。
織り方・染め方の説明を聞いたり、文様のいわれを聞いたりするのも楽しくて、
2時間があっという間にすぎてしまった。
どうもわたしは、自分が着物を着るとか、人に着付をする、ということよりも、
「着物」そのものに興味があるようだ。
お相手への着付はもちろんのこと、自分で着るのですら、ちっともうまくならない。
時々うまくいくことがあっても、それは単なる偶然。
なにかコツをつかんだわけじゃないから、もう一度やってみると、まただめなわたしに逆戻り、なんだよねえ。


というわけで、「文藝春秋」と文庫本2冊は残念ながら期待はずれだったけど、
いっしょに買った「美しいキモノ」最新号でもながめながら、
眠りにつくことにしよう。

美しいキモノ 2009年 09月号 [雑誌]

美しいキモノ 2009年 09月号 [雑誌]