オーウェル『1984年』読了。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

読了。
面白いと言えば面白いけれど、
最後まで読んでかなり気が滅入った。
ピンチョンの「解説」も重いし、唯一軽やかさがあるのは、「訳者あとがき」くらいか。
動物農場』に比べて長いし、近未来社会の描き方がしつこくて、途中から飽きてきた。
で、後半の拷問の場面とかは、具合が悪くなりそう。
この後味の悪さは……そうだ、村上春樹の『海辺のカフカ』!
ということは、噂の春樹本も、このような後味の悪さをのこすということか。


ともあれ、読了。
「解説」に、ブッククラブがオーウェルに、ゴールドスタイン本の引用と巻末の附録の削除を依頼したが、
オーウェルは断った、というエピソードが紹介されていた。
たしかに、この引用と附録は、「とばしたいな……」という誘惑にかられるくらい、長い。
ただでさえ、この全体主義社会の構造を理解して思い描くのに、へとへとになっているので、
「もうわかったよ!」と言いたくなる。
でも、この単純なストーリーに面白さを添えているのは、実はこの引用と附録なのかも、と思ったりもする。
物語(寓話)としての面白さ、という点では、『動物農場』を読めば十分で、
この『1984年』ならではの魅力、というと、
この全体主義社会の構造や言語を、「ことば」で分析・説明し、読者を説得し、納得させようとしている、
ということのようにも思うから。


間髪いれず、今週末は、村上春樹1Q84』を読むことにしよう。