柴田元幸、おそるべし
今日は9時前に会社を出られたので、吉祥寺駅前の小さな本屋で、
雑誌「文藝2009春号」を買った。
お目当ては、特集・柴田元幸のうちの、「書き出しで読む『世界文学全集』」。
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/01/07
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「大学もクビになり、数少ない友だちもいなくなって暇になったら訳してみたいと思う作品を、
その冒頭だけ、先回りして訳してみたものです。」(35ページ)
っていうんだけど、この「書き出し集」がすごい。
「ヘンリー・アダムズの教育」から「ハックルベリー・フィンの冒険」まで、16作品。
時代も国もさまざまな英米文学の古典を、柴田元幸が訳すとこんなカンジ、ということなのだけれど、
いやあ、こんなことができるのは、やっぱりこの人以外にはいないと思う。
好き嫌いを言えば、もちろん作品によって、「あ、この作品は前に読んだ○○訳のほうが好きだな」
というのは、ある。
「ハックルベリー・フィンの冒険」の柴田訳は、なんていうか、読む前からいいに決まってる、って感じがしたけど、
やっぱり、いい。
意外にいいなあ、続きを読みたいなあと思ったのは、「フランケンシュタイン」。
「マクベス」が入ってるのは、編集部の希望かな、それとも柴田さんが選んだのかな。
いずれにしても、柴田元幸にシェイクスピアを訳させる、って、すごい冒険だなあ、と思った。
柴田さんはあまりに有名だから、いまさらこういうところで話題にするのもちょっとシャクなんだけど、
でも、やっぱりすごいものはすごい。
この特集、表紙からグラビアページのつくりがすてき。
表紙の柴田さんのイラスト、見覚えのあるタッチだなあと思って調べてみたら、
数年前に教科書の仕事でイラストをお願いしたイラストレーターさんだった。
グラビアページの写真も、柴田さんの仕事場なのかな、冬のひだまりっぽい感じがとってもいい。
高橋源一郎、古川日出男、岸本佐知子との対談は、これから読むのだけれど、
なんとなく書いてあることが想像できちゃうかなあ、というメンバー。
あと、なんともコメントしにくいのが、「英米文学受容史」という8ページの記事。
1950年代から2000年代まで、年表風に「各時代ごとに、日本・英米・世界での社会的な出来事、
文化的・文学的な出来事を挙げた上で、英米文学翻訳受容を含め、文学全般についてコメント」をしている。
さらに、「続いて各年代ごとのおもな翻訳作品を、日本で出版された年ごとに並べた」とある。
うーん、過去50年の英米文学の受容史って、こんなふうにまとめちゃっていいのかなあ。
「おもな翻訳作品」って、だれが、どういう基準で選んでるんだろう。
たぶん、このページの書き手の方が、なるべくニュートラルにと気を使って書いてるんだろうけど、
ちょっとどうかな、と思う。
「特集・柴田元幸」の中にあるせいか(←このことじたい、変だと思う)、妙に柴田さんの翻訳作品が多いし。
でもまあ、この特集は、最初にふれた「書き出しで読む『世界文学全集』」を読むためだけでも、
購入する価値はあると思う。
時間がある人は、立ち読みでもいいかもね。
帰宅したらポストに、「國文學」の最新刊が入っていた。
今月の特集は「本当は知らない韓国」。
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文字が頭に入ってこないよ〜。
今日はもうつかれちゃったので、
ふとんの中で「特集・柴田元幸」の続きを読むことにしよう。