石垣島で海を満喫、読書少々
週末、石垣島に行ってきた。
今回のメインイベントは、なんといっても鳩間島&バラス島シュノーケリングツアー。
お天気は快晴。海はみごとに色が出ていて、まさに別世界。
日頃のイライラやモヤモヤは(一時的にではあるが)吹っ飛んだ。
ちなみに、この「海の色が出る」というのは、海の水が澄んでいてお天気がよいとき、
水面の色が水の深さに応じて、深い青や淡い緑色などの層になることを言うらしい。
写真のアップの仕方がいまいちわからないので、
かわりにツアーの主催者の方が書いている当日のブログを紹介。
http://hatomaislandworld.blog.ocn.ne.jp/star_sands/2008/07/post_c6fd.html
わたしはちっちゃくうつっています。
さて、読書のほうは、沖縄に行く前に『月と六ペンス』を読了。
- 作者: ウィリアム・サマセットモーム,William Somerset Maugham,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/06/12
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といっても、主人公のストリックランドは、わたしの好きなタイプの「ダメ男」ではない。
なぜなら、彼はマッチョだから。
この小説の主な登場人物は、男3人、女3人。
男は主人公のストリックランド、語り手の作家、お人よしの画家ストルーブ。
女はストリックランド夫人、ストルーブの妻ブランチ、タヒチの女アタ。
この6人のうち、ストリックランドをのぞく5人全員が、ストリックランドに惚れている。
もちろん、男性である語り手の作家やストルーブは、女たちとはまったく違う形をとっているけれど、
彼にふりまわされ、彼を憎みながらも、ずるずると彼とかかわらずにはいられない、という意味では、
惚れている、としかいいようがない。
女たちのほうははっきりと、ストリックランドの男性的な魅力にのぼせあがるわけだけれど、
うーん、わたしはこういう男は、はっきりときらいだ。
だから、3人の女の中でだれにいちばん共感するかというと、
印象の薄い株式仲買人だったストリックランドと結婚し、ある日突然捨てられた、ストリックランド夫人だ。
凡庸だと思っていた自分の夫が、ある日突然、姿を消して、「もうあなたのところには戻らない」なんて、
うわあ、これはたまらない。
作品のラストが、ストリックランドの死後、語り手が夫人の住まいを訪れたときのエピソードで終わっているのがみごと。
語り手の視線は明らかにアタにやさしく、ブランチに同情的で、ストリックランド夫人に冷ややかなのだが、
なにしろ語り手も「マッチョなダメ男」ストリックランドに惚れているわけだから、
まあ、当然といえば当然なのだろう。
というわけでわたしは主役のストリックランドより、脇役のストルーブのほうが興味がある。
語り手によって道化の役をふりあてられたあわれな寝取られ男のストルーブ。
ここまで徹底していると、ちょっとやりすぎ、という気もしたけれど、
傷心のストルーブが故国へ帰るというシーンでは、思わず、がんばれ、だいじょうぶだ、とはげましてあげたくなった。
と、このように、わたしが小説の中の登場人物たちと話をするのは、
かなり作品にのめりこんでいる証拠。
翻訳がうまいかどうかとか、解説がどんなふうにか書かれているかとか、
いつもは気になる部分がどうでもよくなって、
ただひたすら、読み進めるのが楽しかった。
解説には、
この小説は、モームの分身である語り手が、<芸術>のアレゴリーであるストリックランド像を追い求める
物語であるといえるかもしれない。もしそうなら、それは、「二流」扱いされた「通俗作家」が、
作品にそっと差し挟んだ皮肉なのだろうか、それとも、「一流芸術」への諦めきれぬ思いなのだろうか。(421ページ)
とある。
この小説が「通俗小説」ならば、通俗小説万歳!だ。
さらにいうなら、わたしはやっぱり、こういう長編小説が好きなんだなあ。
そこで、沖縄行きに選んだのは、次の「通俗的な長編小説」2冊。
- 作者: 帚木蓬生
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評判どおり、とてもおもしろかった。
いつもだったら長めの感想を書くだろうけれど、
なにしろ今回は、そのあとに読みはじめた『或る女』が強烈で、
モームと有島という大御所に囲まれて、ちょっと影が薄くなってしまった感じ。
『或る女』はまだ読書中。
葉子という主人公がすごい。ストリックランドに負けない個性だ。
読み進めるのが楽しみで、会社を休んでしまいたいくらい。
長編小説万歳!!