永山健康ランドでモームを読みはじめる

ぜったいに、ぜったいに「会議」以外で休日出勤はしない!! と心に決めていたはずなのに、
どうしても急ぎの仕事が終わらず、土曜日、泣く泣く休日出勤。それも、ふつうに10時〜18時勤務。
今月は会社から決められている残業時間の上限を超えそうなのだけれど、
もし、上司から「時間管理」について指導されたら、絶対言い返してやる、と心に決めている。
ああ、どんどん態度が悪くなっていくわたし……。
こんなことではいけない、と、気分転換のために、今日日曜日は雨降りだけれど永山健康ランドへ。


二週間ほど前にはじめて行って、すっかりファンになってしまった「永山健康ランド」。
なにしろ家からバスと京王で気軽に行けるところがいい。
岩盤浴はいろいろな種類があるし、レストランのメニューも豊富。
お風呂は広々していて、露天も二種類ある。
お風呂と食事、マッサージを堪能したあと、
ゆったり気分で読書&お昼寝を愉しむという、至福のひとときが味わえる。
で、今日は、古典新訳文庫のモーム『月と六ペンス』を持っていった。


最初の20ページほどは、作者の前書きのようなつくりになっていて、
なかなかストーリーが始まらない。お風呂に入ってつかれていたこともあり、あくびを連発。
ただ、語り手である作家が書評紙である「タイムズ文芸付録」を毎週欠かさず読んで、そのたびに、
「いま書かれつつある厖大な数の本を思い、その出版を切望する著者の思いを思い、
 現実にその本を待ち受けている過酷な運命を思ってきた。」(18ページ)
などというくだりを読むと、思わず遠い目になってしまった。
そうなんだよな、「出版不況」なんていうこととは関係なく、
いつの時代も、どこの国でも、「本」たちは常に過酷な運命にさらされていて、
わたしという個人が一生のうちに読める本の数なんて、ほんとうにちょびっとなんだよなあ。
そしてさらに、せっかく編集者として出版社につとめて、「本を出版する」側にいるのだから、
一冊でも自分が納得できる本をつくって世に送り出していかなくちゃいけないなあ。
うーん、そう考えたら、くだらないことで上司にはむかったり、愚痴を言ったりしている暇はないのだ! と、
カリカリしていた一週間を、少しだけ反省したのだった。


で、『月と六ペンス』のほうは、メインのストーリーがはじまると俄然読みやすく、
永山健康ランドの漫画コーナーのすみっこで、身じろぎもせずに読みすすめた。
今週末の沖縄までには読み終わってしまうと思うので、
旅の携帯本を考えなくては。
海辺では難しい本は読めないだろうから、古典新訳文庫の『鹿と少年』上・下でも持っていこうかな。
軽いからペーパーバックを持っていく、という手もあるかもしれないけど……無謀だな……。