休日は好きなことをして過ごしたい

今日、会議で、「運動会をぜひ見に行ってほしい」という話があった。
「運動会では子どものほんとうの姿がよく見えるから」「生の子どもと触れ合うことが大切だから」だそうだ。
へ?
もちろん、業務命令ではないから、へ? と思いつつ聞き流せばいいのだろう。
でも、どうしてもひっかかってしまった。


これまでいろいろな仕事をしてきたけれど、休日の過ごし方について、あれこれ言われたことは一度もなかった。
現在のわたしの勤務先は出版社だけれど、「本をたくさん読みなさい」という発言を聞いたことがない。
わたしの仕事は編集者だけれど、「いろいろな人に会いなさい」というアドバイスを受けたこともない。
とにかく、「子どもと触れ合いなさい」「子どもと接しなさい」とばかり言われる。
子ども、子ども、子ども、子ども……。
わたしは、小さい子どもが苦手なのだ。
近所で運動会なんてやっていたら、足早に通り過ぎる。
電車で子どもの集団にあってしまったら、車両を移動する。
業務命令で研究授業を見てこい、と言われるのなら、まあ、気は進まないけれど、いくしかない。
でも、休みの日や退勤後に何をしようと、わたしの勝手ではないか。


わたしの兄は食品メーカーに勤めている。兄のミクシィ日記を読んでいると、休日も退勤後も、仕事とはまったく関係のないことをして過ごしている。
水泳の大会に出たり、海外旅行に行ったり。
ワインと食事への関心の高さはふつうではなくて、まあ、仕事に近い趣味かもしれない。でも、兄の意識の中に「仕事に役立つ」なんて考えは、ほとんどないと思う。


妹は家庭裁判所に勤めていた。少年事件や家庭のいざこざなどを扱っていたけれど、
休日や退勤後は、パラグライダーやらバイクのツーリングやら、仕事とはまったく関係のないことばかりやっていたように思う。
「問題行動を起こす子どもと触れ合え」「問題を起こしがちな家庭の実態を知る努力をしろ」なんて言われていたとはとても思えない。


そうやって考えていくと、たとえば、父が「日経ビジネス」を定期購読していたことは、「仕事に直結」なんだろうなあ、と思い当たった。
でもそれは、父が将来設計をするうえで「必要だ」と考え、自分で購入していたもので、
だれかから「休日には経営の勉強をしなさい」と言われたわけでもないだろう。


今度の土日、同居人が学会でいないので、教育関係のシンポジウムと児童文学関係のシンポジウムに行ってみようかなあと思っていた。
東京だし、無料だし。
でも、今日の会議で、「とにかく子どもと接することが大事。先生の発表などは二の次。」と言われたので、急に行く気が失せた。
それでは、この土日は、テニスをしたり、映画をみたりして、過ごすことにしよう。
本を読むにしても、仕事とは対極にあるような本を選ぶことにしよう。