出勤初日・2日目

1月7日(月)、出勤初日。
ご多分にもれず、わが社でも社長の年頭挨拶があった。
今年の社長挨拶は、昨年の「老舗の偽装問題」に触れて「誤字・誤植をゆるさない編集」なんて話が出て
ちょっと感心したのだけれど、
さらにその後、古典新訳文庫その他、出版各社の「硬派大型企画」について、かなり具体をあげて話していたので、
おお、わが社もそういう方向に色気があるのかと、うれしくなった。
池澤夏樹の世界文学全集のことも話していて、社長が年頭挨拶で話すくらいなんだから、
もしかしたらわが社でも隣のビル(辞書や単行本編集の部署が入っている)の人たちは、
外国文学や古典について日常的に話したり、企画を考えたりしているのだろうか。
そういえば、わたしは部内の人とほとんど本の話をしない。
組合やブログを通じて親しくなった隣のビルの人とは、結構、本や作家の話をするのに。


夜、翻訳学校の仲間2人と丸ビルでディナー。
20代の頃からの仲間だから、思えば長いつきあい。
ひとりはロマンス小説の翻訳をコンスタントにこなしながら、最近になって夢だったミステリ翻訳の仕事が来るようになったがんばりや。
もうひとりは翻訳関係の事務系の仕事をあちこちでやって、今はロマンス小説の編集プロダクションで編集の仕事をしている。
今年はふたりとも、今の自分の生活に迷いがなく、とても充足しているように見えた。
結果、わたしがひとりでぶちぶちと今後の身のふりかたについて相談することに。


そしてわかったのは、やっぱりネックになっているのは「子どもたちのために」本をつくる、ということのようだ、ということ。
「子どもの本をつくるのもそう悪くないんだよ」と不自然に力説するわたしにむかって、
友人の一人は意地悪く笑い、「ほんとにそう思ってる〜?」とたずね、
「その本を読んだ子どもからさあ、感動しましたあ、とか、これからもがんばってください、とかって手紙がきたら、うれしい?」
と言い放ったのだ。
答えようとして、わたしは絶句した。これはすごい指摘だった。
……うれしい。うれしいに決まってる。だって読者である子どもたちのために、がんばって編集してるんだから。
でも、立ち止まって考えてみたら、ほんとうの答えは違っていた。
別に、うれしくないのだ。
今いっしょうけんめいやっている児童書の企画も、わたしは本音の部分では「大人の読者」の可能性や、その本を買ってくれる「大人」の評価ばかりを、
気にしているのではないか。まずい。これはかなりまずい。


そんなにストイックにならなくても、今の仕事は仕事として割り切って、
要所要所で「子どもたちのために」とオウムがえしすればいいじゃん、とも思う。
そういえば年末実家に帰ったときに、三つ上の兄がどう考えても不似合いな営業の仕事を、
「現場を知るということも研究者にとっては大事だから」なんて殊勝なことを言ってこなしているのにいたく感心したのだった。
生き方が不器用な人だと思っていたのに、いつのまにか立派な企業人。
ああ、それなのに、「要領がいい」と言われていたはずの妹のわたしは、仕事も私生活もかなりぐずぐずぐちゃぐちゃになってるなあ……


1月8日(火)出勤2日目。
仕事と読書計画は不調。ダイエット計画のみ順調。
仕事がうまくいかないと、電車の中などでもぐずぐず考えてしまって読書が進まない。
ただ、定時でさっさと帰ってきたので、夕食は家でつくって食べられる。結果、ダイエット計画は順調に。
同居人にも言われたけれど、今回のダイエットは今までになく本気だ。


などとくだらないことを書いているうちに、もう4時過ぎ。がんばって眠らないと。