西表島で世界文学三昧(予定)

旅行の準備。どの本を持っていこうかと考えるときがいちばん楽しい。
多くの場合、その半分も読み終えられず、そのまま持ち帰ることになるのだけれど……。
まず、重さを考えたら文庫か新書。
いまわたしの手元にある文庫といえば、たまりにたまっている「古典新訳文庫」。
読みかけのクラーク「幼年期の終わり」(まだ読んでるの〜?ってカンジですね)と、
同じく途中でやめてしまったO・ヘンリー、それに順番からいって、ヘッセとラディゲ。
おお、英米独仏、まさに世界文学三昧!!
ということで、わたしの旅行バッグの中には、4冊の古典新訳文庫がおさまりました。


読書が全然すすんでいないくせに、ここのところジャカジャカ本を買っている。
これはわたしの場合、仕事でストレスがたまっているときに出る症状。
仕事での不満に直結するような新書とか、逆に思いっきり趣味や娯楽に走ったハウツー本を買ってしまうのだ。
そのうちの一冊、「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」を読了。

この著者の前作「若者はなぜ3年で辞めるのか?」は立ち読みですませたのだけれど、
こちらは次々に繰り出される「昭和的価値観」がおもしろそうだったので購入。
うーん。わたしはまさに、この「昭和的価値観」からのがれられないんだなあ。
といっても、著者が言うほど極端ではないし、著者の示す新しい価値観を「すばらしい!」という気持ちにもなれない。


これまでもちょくちょく書いているように、わたしは上からものを言われるのがキライだし、
転職をはじめとして人生を大きく変えることにあまり抵抗感はない。
でも、ひとつの仕事をこつこつと続けて、だめ上司にあたってもそれなりに受け流し、
多少いやなことがあっても淡々と仕事をしている「職人」風の人に対して、
憧れのような、尊敬のような気持ちを抱いている。
まさに昭和的価値観の中で生きてきた両親の人生も、すてきだなあと思う。


結局、わたしに向かって「ああしろ」「こうしろ」とさえ言ってこなければ、
人がどんな価値観でいようが、どんな働き方を選ぼうが、自由なんじゃないかなあと思うのだ。
わたしはやっぱり、多少気がすすまなくても会社の「飲み会」は行ったほうがいいかなあと思うし、
だれかがしなくてはいけない「雑務」は分担すればいいと思うし、
年齢の上の人に対してはていねいな言葉遣いで話したいと思う。
(たとえ有給や代休がたまりまくっているとしても)仕事を休んで旅行に行ったら、
やっぱりお土産を買っていくだろうし、
「よっぽどのことがなければメールの転送とかしませんから、
 ゆっくり愉しんできてください」と言ってくれた年下の同僚には、感謝の気持ちでいっぱいだ。


この本は実例がたくさんあがっていて、いろいろな立場からの指摘もあって、
この手の新書としてはなかなかのレベルの本なのだろう。
でも、なんだか読み終えて、つら〜い気持ちになった。
せっかく旅行に行くんだから、しばらく仕事のことを考えるのはやめようっと。


今日はこれから、「西表・世界文学三昧」の前哨戦ともいうべきイベント、
トム・マシュラーの講演会。行ってきます!