夢の読書三昧

生まれてはじめて、仕事から完全に離れた黄金週間の幕開け。
「今年は休める人はたっぷりと休むように」と言われ、思いきって9日まで休みをとった。
28日の土曜日は研究会があったのだけれど、29日から9日までの10連休。
突然のふってわいたような休日に、どうやって過ごしていいかわからない。
とりあえず何日か帰省する以外は、旅行の予定もなく、本を読みたい放題の毎日。
職場の先輩に、「何かこれを読もう、とか決めてる本ある?」と聞かれたので、
「たまっている古典新訳文庫を……」と答えた。
この休みで一気に「カラマーゾフの兄弟」以外の古典新訳文庫を読み切って、
カラマーゾフ」の4巻が出たら、即、1巻から読みはじめ、カラマーゾフ・モードに入れるようにする、
というのが、私の黄金週間の目標。


28日(土)
府川源一郎『「ごんぎつね」をめぐる謎』読了。

「ごんぎつね」をめぐる謎―子ども・文学・教科書

「ごんぎつね」をめぐる謎―子ども・文学・教科書

内容についての詳しいコメントは控えるけれども、
「子ども・文学・教科書」というような副題がついている本なのに、とてもおもしろく読んだ。
文学と教科書の関係を歴史的におさえていく入門書として最適。


29日(日)〜30日(月)
帰省の電車の中で、「吉祥寺スタイル」読了。

吉祥寺スタイル―楽しい街の50の秘密

吉祥寺スタイル―楽しい街の50の秘密

影響されやすい私は、連休の後半は、吉祥寺を歩いてみようと心に決めた。
吉祥寺の喫茶店で、古典新訳文庫を読むぞ〜!!


古典新訳文庫『恐るべき子どもたち』をやっと読了。

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

薄い本だけれども、予想外に時間がかかった。
かなり集中しないと作品の中に入りこめず、作品の中に入り込まないと、内容がほとんど理解不能
訳者の中条省平さんがエクステンションセンターの講義でおっしゃっていたように、
この小説はびっくりするほど飛躍が多い。
ぼんやり読んでいると、ええーっ、これってどうつながってるの? 状態になる。
ただ、作品の中に入り込んでいると、この飛躍が必然的な飛躍のように思うし、
奇抜な比喩がこれ以外あり得ないという比喩に思える。
ぐるぐるとめまいのような「子供たちの遊戯」の世界にまきこまれて、
そこで通用している論理こそが、世界の真実のように思えてくる。
電車の中であんまり熱中して読んでいたので、少し乗り物酔いのような感じで、気分が悪くなってしまった。
これまでにもこんなふうに、電車の中で読んでいて気分が悪くなった本が何冊かあって、
いずれも思い返してみると、ものすごい力のある本だった。
1冊は、島尾敏雄の『死の棘』。もう1冊は、E・M・フォスターの『モーリス』。
「気分が悪くなる本ベスト3」なんて、なんだか不名誉な感じだけれども、
私としては最上級のほめことばのつもり。


高田馬場の古本屋めぐり。
平野書店で2冊購入。
・「Foreign Literature 世界の小説 戦後30年」(1977年・朝日出版社
福田恒存他『なぜ日本語を破壊するのか』(1978年・英潮社)←この一行、すべて旧字旧仮名に直す
Blue Parrotで、子どもの本を2冊購入。
・A Treasury of stories for SIX year olds
・The Third Young Puffin Book of Bedtime Stories


せっかく仕事を離れた黄金週間なのに、仕事熱心な選書だなー。
青山七恵『ひとり日和』とか、森見登美彦『新釈走れメロス』とかも買ってあるので、
このあたりも織り交ぜつつ、夢の読書三昧の日々を送りたい。