柴田元幸トークショー

昨日、青山ブックセンターで行われた、柴田元幸さんのトークショーに行ってきた。
話題となる『つまみぐい文学食堂』が未読・未購入だったので、これを機に購入して読んでみようと思ったのと、
久しぶりに柴田さんのお話をうかがってみたいと思ったのとで、
ヘルプの仕事をなんとか片付け(残りは日曜日にやることにして!)、あたふたと会場へ向かった。


さすがに柴田さんはお話がうまいし、人気も相変わらずで、
「柴田ファン」風の方もちらほら見える中、
柴田さんはあの名調子で、J・ロンドンの Love of Life (「生への執着」)という短篇の1部を朗読。
かなり長かったのだけれども、すっかりひきこまれてしまった。スゴイ小説。
ロンドンと柴田さんって、なんかあんまり接点がないイメージだったのだけれど、
「……た。……た。」という文体が、アラスカの荒野を行く瀕死の男とぴったりとマッチして、
すごい迫力だった。
柴田さんは、作品の最後の船に戻ってからのエピソードが好きだとおっしゃっていたけれども、
わたしは結構単純に、うーん、いらないんじゃないかなあと思ってしまった。
もちろん、わたしの読み方が甘いのだと思うけど。いや、好みのモンダイかな。


もうひとつ、『つまみぐい……』の中でも紹介している作品で、
リオノーラ・キャリントンの「はじめての舞踏会」という短篇、
これは短いので全文を柴田さんが朗読。
こちらは書き出しはもっと軽くて、児童文学っぽくて、
「あら、小学校の教材にどうかしら」と思うくらい、牧歌的な感じ。
でも、柴田元幸がそのようなものをわざわざ選ぶはずもなく、
途中から話はぐんぐんシュールな世界へ。
おもしろかったなあ。
ほんとうは子どもだって、こういう物語を読んだら楽しいだろうなあ、と思ったりもして。


吉野朔実さんのイラストもとっても素敵な、おしゃれな装丁のこの本、
これから早速読んでみようと思う。

つまみぐい文学食堂

つまみぐい文学食堂


一応、柴田さんにご挨拶をと思い、サイン会の列に並ぶ。
柴田さんの隣でかいがいしくサインの準備のお手伝いをしている美女に、
名前を書いた紙を渡すと、美女は大きな瞳をさらに見開いて、
「あ〜!○○さん!」とわたしの名を呼んだ。
以前、共訳書を出したときの担当編集者さんだった。
美女に話しかけられて思わず動揺し、
「相変わず(おきれいで)……」と言いそうになり、
なんだかそれってセクハラっぽいかしらと思って、途中からあわてて変更したら、
「相変わらずご活躍で……」と言ってしまい、
すっかり自分がおばあさんになってしまったような気がして、ちょっと落ち込んだ。