『小川洋子対話集』

小川洋子対話集

小川洋子対話集

読了。
感想を書きたいのだけれど、野崎さんのことを書いたら力尽きてしまった感じ。
ので、簡単に。
いちばんよかった対談は、冒頭の田辺聖子さんとのもの。
大阪弁が苦手なのでなんとなく敬遠していたけれども、
田辺さんの作品も読んでみようと思った。
小川さんがかなりしっかりと「聞き役」をやっていらして、
田辺さんの魅力を引き出しているという感じがした。


岸本佐知子さんとの対談もおもしろい。
ただ、二人とも「ボケ」キャラなので、放っておくと二人でどこまでもいってしまって、
下手すると読者が置いてけぼりをくらってしまう。
似たもの同士の対談ということで、これはこれで魅力的な企画だ。


レベッカ・ブラウンとの対談の中で、『体の贈り物』などのレベッカの作品について、
「物語化しようとするものを見る目の冷静さ、そこに真実の温かみが宿っているところが魅力だと感じる」
と小川さんが話していて、うーん、まさにそのとおり、と思った。
わたしは『体の贈り物』の中では「涙の贈り物」がいちばん好きで、
若い人たちに「いのちはたいせつに」とか「いじめはやめましょう」なんて説教する暇があったら、
この文庫本わずか数ページの短篇を、「読め!」と言って渡せばいい、と心から思っている。