エディターズ・ハイ

今日の朝までにどうしても読まなくてはいけないゲラがあり、
久々の(ほぼ)徹夜になってしまった。
朝10時に相手先にゲラを届けて、ほんとうは休みたかったのだけれど会議があったので仕方なく会社へ。
くたくたなはずなのに、なぜか異様にハイテンションとなり、
ふたつの会議にいつになく積極的に参加したあげく、
帰りがけに書店2店に立ち寄り、読めもしないくせに、次々に本を購入。


まず最初に立ち寄った吉祥寺駅前の書店で、
柴田元幸の文学講座が特集になっている「飛ぶ教室 冬号」と、
その柴田さんを含め、田辺聖子さん、岸本佐知子さんといった、とても気になる人々と、
今もっとも気になっている作家のひとり、小川洋子さんとの対談集、
小川洋子対話集』を購入。
小川洋子といえば、ちくまのプリマーで出ている若者向物語論のような本を立ち読みしたけれども、
幼い頃の読書体験が自分とあまりに似通っていて、なんだか情けないような気持ちになった。
そうだ、わたしだって少女の頃は、せっせと物語を作って、家族や友達に(無理やり)読み聞かせたりしていたものだ。
ちなみに、少女の頃のわたしの作品のタイトルを並べてみる。


「三人姉妹」…当時大好きだった「若草物語」の現代日本版。つまり、パクリ。
「孤島に咲く友情の花」…当時の愛読書だった「ロビンソン・クルーソー」のパクリ。
「星への旅」…当時もっとも繰り返し呼んだ本「オズの魔法使い」のパクリ。
「レッツ・ゴー5年1組」…「魔法使いサリー」中の名作、「ポニーの花園」のパクリ。


というわけで、カンニング竹山も真っ青の、「パクリン」だったわけで、
(最初の作品なんて、タイトルまで恐れ多くもチェーホフのパクリ)
インプットは小川洋子といい勝負でも、書くほうの実力の差は、既にはっきりとあらわれていたということか。


ここの書店ではさらに「仕事用」として絵本を1冊購入し、井の頭線に乗って久我山へ。
久我山駅前で、おおっ! 啓文堂がまだ開いている!!
そのような時間に帰ってきたということがうれしくて、ただそれだけの理由で、ずるずると中へ。
ぐるぐる歩き回っているうちに、ひっそりと隠れるようにして置かれていた、
古典新訳文庫の新刊「カラマーゾフの兄弟3」「恐るべき子供たち」を発見。
おお、そんなところにいたのかと、今や家族か親友か、あるいは大切なペットのような存在となっている古典新訳文庫を手にとり、
いそいそとレジへ。
もともと鞄の中に入っていた文庫本とあわせ、合計7冊の本が入った鞄を自転車の前かごに入れて、
ぐらぐらと危なっかしい運転で帰宅。
眠いはずなのに眠れない、エディターズ・ハイの1日がまもなく終わる。