佐賀エキナカ書店探訪

出張中、唯一の連泊地、佐賀。
昨日このブログに書いたように、JRの佐賀駅前は、びっくりするほど何もない。
繁華街は少し離れているのかもしれない。


昼食はうどん。「牧うどん」という、九州では有名な激安うどんチェーン店。
ごぼううどん400円という安さなので、肉うどんにえび天のトッピング、と奮発した。
味のほうは、予想に反して大満足。えび天はどうということはなかったが、
めんとスープは値段の割に、というか、値段に反してなかなかの味。大満足。


心配していた夕食は、宿泊プランのサービスクーポンで、600円分の食事ができるというラーメン屋へ。
玉子入りの豚骨ラーメン・ぎょうざ付。
ごはんもついてきたけれど、さすがにこんなに食べられないと思い、ごはんは辞退する。
こちらのラーメンもなかなかおいしかった。


夕食後、思い立って駅ビル(といっても1Fだけ)の中を探訪。
書店とCDショップが組み合わさったような店があったので、入ってみた。
書店の面積はそこそこ広く、久我山エキナカ書店や吉祥寺の南口駅前書店と同じくらいの規模。
入口近くの雑誌コーナーはかなり充実していて、女子高生がたまり、ファッション雑誌を見ながら、
楽しそうに談笑している。
眉毛を剃って描きたいのだけれど、学校や親がいい顔をしない、でも描きたい、というようなことらしい。


久我山や吉祥寺の同規模店に比べて優遇されているのが、ビジネス本・自己啓発本の類。
もちろん、こういった本は久我山などでも山と積んであるのだが、
とても比較にならない。
おやおや、文芸書はどこにあるのかしら、と店の奥に入っていくと、
ありました。文芸書の棚。
「文芸書 日本・海外」と書いてある棚が、一番奥に、わずか一列。
一段に20冊くらい入る棚が6段ほどあって、たとえば海外文学は2段。
つまり、この店では海外文学作品は40冊ほどしか並んでいない、ということになる。
しかも、そのうちの半分ほどは、ハリー・ポッターなどのファンタジーだった。


新刊書については、この奥の棚以外に、入口近くのわりといい場所が確保されている。
単行本の新刊の棚は2列で、1列は「当店のベストセラー」の面ざし。
1位と2位が空欄になっていたが、これは間違いなく村上春樹の例の本だろう。
新刊のもう1列が不思議な並び。なんと出版社別になっているのだ。
こういうのをわたしは初めて見たのだけれど、地方の書店ではよくある並べ方なのだろうか。
上から順に、角川書店幻冬舎講談社文藝春秋、新潮社、その他、である。
へええ。ふうん。
たとえばこの中に、クレストの『最終目的地』なんかが入っているわけだ。
ちなみに、「その他」にわりあてられた本の冊数は、おそらく20冊未満。
ここに入り込むのは大変だろう。


おかしかったのは、自己啓発本の棚の中に、
柴田元幸高橋源一郎の『小説の読み方・訳し方』がまざっていたこと。
『できる男の○○術』とか、『売れっ子ホステスに学ぶ○○の方法』なあんてタイトルの本の間に、
この本を発見したときは、思わず笑ってしまった。


それにしても、本との出会いの場として書店を考えたとき、
これでは文芸書が売れないのも無理はないなあと思ってしまった。
日常生活の中で出会う本がこういうものばかりなのだとしたら、
せめて学校教育の中では、文芸書との出会いの場を広げなくてはと思うのだけれど、
そういう考え方は明らかに時流に反しているようだ。
ううむ。


この書店にいるあいだに、店内でわたしと同じような行動をとっている60代くらいの女性がいた。
旅先で読む本をさがしているのだが、なかなかいい本がない、という風情で、時折手にとる本も重なっている。
彼女が最後に手にとってレジに向かったのは、「オール読物」の最新号だった。
なんだ、オール読み物か、と一瞬思ったのだけれど、特集タイトルを見て、合点がいった。
「ほんとうの戦争の話」とあった。


おっと、ぐずぐず書いているうちに、また12時すぎてしまった。
明日も早いので、このへんでおしまい。