マイケル・カニンガム講演会

原書はおろか訳書も読んでいないのに、マイケル・カニンガムの記念講演会に行ってきました。
実はおめあては司会の高橋和久さんと、対談相手の山本容子さん。
高橋和久さんは例によってのらりくらりとした司会ぶりで、
そんなにたくさん喋ったわけでもないのに、だれよりも(カニンガム氏よりも?)
強いインパクトを残したような気がします。


ちなみに高橋和久さんには、はるか20年前、わたしが今よりだいぶ痩せていて、
お肌もぴちぴちしていた頃に、G大学の英米文学科の演習で、
「スモレットの小説を読む」という授業でお世話になりました。
スモレットの小説、っていうのが厳しかったのか、
授業に参加していたのは私をいれてわずかに3名。
当然ながら、毎週当たって訳さなくてはいけなくて、
学問よりも恋愛やらテニスやらに夢中だった不良学生にとっては、
かなりキツイ授業だったのです。


でも今思えばその頃から高橋和久さんはどことなくセクシーで、
何ともいえない魅力がありました。
バブリーな女子大生が「キャーッ」と騒ぐような人気ではありませんでしたが、
知的な大人の男の人という感じで、すてきだなあと思っていました。
今、大学で大変な人気者だと聞くにつけ(ミクシィのコミュまであるようで!)
おお、私はなかなか男性を見る目があるではないか、と思ったりもしています。


さて、一方の山本容子さんも、これまた当然ながら「ただの美人」ではなく、
じつに魅力的な方でした。バサバサと話をされているのに、なんとなく色っぽいのです。
アメリカ人作家という畑違いの対談相手に、
芸術家としてのご自身の体験にからめてきりこんでいくお話ぶりは見事でした。
「星々の生まれるところ」の三部に出てくるトカゲにこだわっているお話をうかがったら、
これはやはり、読まなくちゃいけないな、と思い、早速購入しました。


で、肝心のカニンガムさんなのですが、
とてもまじめな方、という印象をうけました。
みえをはったわけではなくてイヤホンが苦手なので、英語のまま聞いていたせいもあり、
実はよく講演の内容が理解できていないという面もあります。
ただ、イヤホンを使って通訳つきできいていたという同居人も、
「あまりよくわからなかったな」と言っていたので、
やはりご講演よりも、そのあとの対談のほうが、だいぶわかりやすく、面白かったように思います。


今回は新作の紹介が中心だったので、
思っていたほど「めぐりあう時間たち」の話が出なかったので残念でした。
こちらは訳書だけでなく原書も買ってあるのですが、
何しろ「映画を観るのは本を読んでから」「本を読むのはウルフを原書で読んでから」
なんて思っているうちに、どんどん日が経ってしまっているのでした。