古典新訳文庫『リア王』

古典新訳文庫の1冊目、『リア王』読了。

リア王 (光文社古典新訳文庫)

リア王 (光文社古典新訳文庫)

このシリーズの歌い文句どおり、文句なしの名作を、わかりやすい(ながらも格調高い)翻訳で、
読書の楽しみを満喫。
リア王』について言えば、
子どもの頃にはラムのシェイクスピア物語子どもバージョンでストーリーに親しみ、
だれの翻訳だか覚えていないけれど、大人になってから戯曲のスタイルで読み、
お芝居だって少なくとも2種類は観ている。
だから、はじめからあらすじはわかっているはずなのに、
いちいちどきどきしたり、がっかりしたりするのだから不思議。


ただ、今回はなるべく翻訳を味わいながらていねいに読むようにしていたので、
忠僕たちのサイドストーリーや、娘婿などの脇役の人物像、
道化や乞食の長いせりふに、結構うなった。
ラスト近くになって、登場人物が次々に死んでいくので、
ここまでやらなくたっていいじゃないか、と腹が立ってきたりもしたのだけれど、
読み終えてからあとがきを読むと、
ある時期、ハッピーエンドの『リア王』が流布していたということが書いてあって、
それはそれでおさまりが悪いというか、
それはないだろう、という気になるのだった。