続・高慢と偏見

続 高慢と偏見 (ちくま文庫)

続 高慢と偏見 (ちくま文庫)

オースティンの『高慢と偏見』を読んでからあまり日が経っていないうちに読まなくてはと、
やや焦り気味で読了。
本家と同様、非常に楽しめた。
エマ・テナントだから、もっとフェミ色が強いかと思ったが、
オースティン流のフェミに色づけして、登場人物の個性をより際立たせたという印象。
エリザベスはものすごく魅力的なヒロインだし、
ミセス・ベネットやベネット家も娘たちはそれぞれに個性的で、
その他、登場する女たちの会話が思わず吹き出してしまうくらい滑稽。


本家オースティンを読んだときに、個人的にダーシーさんにはあまり魅力を感じなかったのだけれど、
こちらについても読後感は同様。
ヒロインの魅力にくらべ、ヒーローに輝きが欠けるのは、
オースティンもテナントも、女性だからだろうか。


小野寺健氏の翻訳はみごと。
原書とつきあわせて細かくみていけばいろいろあるのかもしれないが、
日本語として読ませる、という点では、やはりイギリス文学の翻訳の第一人者であるのは間違いない。
高慢と偏見』の中野康司さんもよかった。


翻訳といえば先週末、ビデオで「鳩の翼」「ベッカムに恋をして」を続けて観た。

ベッカムに恋して【字幕版】 [VHS]

ベッカムに恋して【字幕版】 [VHS]

映画としてはどちらもおもしろかったし、翻訳も作品にあわせているのだろうけれど、
ベッカムに恋をして」のほうの翻訳は、ちょっと訳しすぎのような気がした。
書籍にくらべ映画の場合は、後々まで残るということをあまり考えないでよいのかもしれないが、
映画封切当時は新しかったのだろう女子高生ことばの字幕が、なんだか痛々しかった。