上半期に読んだベスト本など

エマ・テナント『続・高慢と偏見』を読書中。
この2、3日中には読み終えると思うが、その感想を書く前に、
ブログを書き始める前に読んだ本の中から、「ベスト本」を。

最後の注文 (新潮クレスト・ブックス)

最後の注文 (新潮クレスト・ブックス)

『ウォーターランド』もよかったけれど、個人的にはこの『最後の注文』がベスト。
小説としてのつくりがうますぎて、少しあざといかな、という気もするが、
ごく普通の人々の、ごく普通の人生を淡々と描いて、ここまで胸に迫る、圧倒的な読後感を残すのは、
小説の力、文学の力の恩恵としか言いようがない。


どんなに情報化が進み、書物以外のメディアが発達しても、
「文学」という形でしか伝えられないことがある。
それがどんなものなのか、自分にはとても説明できないが、
『最後の注文』のような作品にであうと、「これを読んでみてください」と言いたくなる。


ブログを書きはじめてみてわかった(というより確認した、というほうが近いか)ことは、
自分には書評を書く才能はない、ということだ。
「これだ」という作品にであったとき、その作品のどこがどう優れているのかを論理的に説明しようとするより、
「とにかく読んでみてください」となってしまう。
子どもの頃から本が好きで、「あれがおもしろい」「これがいい」という読書談義が大好きだったけれど、
根本的に「紹介屋気質」なのかもしれない。