リコン小説読了

昨夜遅くまで仕事をし、タクシーで帰宅してからカップ焼きそばを食べ、
日曜日の朝までに作っておくようにと上司から言われていた資料を3時までかかって作成した。
なかなか大変だけれど、今やっている仕事は、仕事の内容といい、一緒に仕事している仲間といい、
まったく不満がないので、それなりにがんばれてしまう。
精神的なストレスがないというのは、こんなにも快適なものなのか、とあらためて思う。


今日は、久しぶりにゆっくり自宅でパンとハムエッグの朝食。
あまりの暑さに外に出かける気にはなかなかなれなかったのだけれど、
同居人が「吉祥寺の本屋に行きたい」と切望するので、「箸で切れるとんかつ」でのランチを目当てに、
自転車で吉祥寺に向かった。


久しぶりのパルコの本屋。
あっ、河出の世界文学全集の第3集「短篇コレクション」が出ている。
おっ、多和田葉子の長編新刊、おもしろそう……
などと思いながら、しばし書棚の間を放浪。
1時間ほどあとで、同居人に遭遇。彼の手には、河出の「短篇集」と多和田葉子の新刊が……。
なんだ、また重なった、と笑って、とりあえずこの2冊は買わないことにし、
再び、書棚のほうへ踏み出す。今度は絶対に同居人が買わなそうな本を買おう、という意気込みで書棚をめぐる。


それでもうっかり手にとってしまった丸谷才一『文学のレッスン』は、
「それ、うちの枕もとにあるよ」と言われ、やっぱり……と思いつつ書棚に戻した。
結局、買った本は、会社の年下の同僚が「面白かった」と言っていた、
森見登美彦ペンギン・ハイウェイ』と、
22日のトークショーは行きそびれたけれど、やはり野崎ファンとしては買わずにはいられない
『英仏文学戦記』と、
タイトルを見ただけで内容が想像がつき、他人事とは思えなかった、
桝野浩一『結婚失格』。


結婚失格 (講談社文庫)

結婚失格 (講談社文庫)

読了。
うー、解説には「笑える」って書いてあったけど、わたしは笑えなかった。
リコンって、ほんとに大変なことなのだ。
まわりの人をいっぱい傷つけるし、
多くの場合、自分にとってはかけがえのない美しい思い出まで「なかったこと」にしなくちゃいけない。
これは、一緒に過ごした時間が長ければ長いほど、人生においては相当な打撃だ。
この小説の主人公のように、リコン問題で揉めているうちに体調を崩し、激ヤセした、という人を、
わたしは少なくとも二人、知っている。(わたし自身ではない…)
ただ、だんだん年をとってきて、リコンから年数が経ってみると、
リコンの原因って、この小説の主人公が考えているような、単純なものじゃない、ということがわかってきた。
そりゃあ、表向きの理由は浮気だったり、DVだったり、家事・育児放棄だったり、
それなりにどちらか一方が責められたりするんだけど、
長い目で見れば、お互いに不完全な人間同士、組み合わせや巡り合わせもよくなかったんだろう、という気持ちにもなる。


この小説について言えば、主人公の男はかなりいやなやつだ。
だめ男好きのわたしでも、こりゃ、だめだ、と思う。
実際のリコン調停の最中に執筆した、というのが、すごいと思うけどやっぱり無謀だったんじゃないかな。
せめてあと数年経ってから書けば、もう少し小説としておもしろいものになったと思う。
あるいは、やはり桝野さんは歌人なのだから、冒頭の短歌だけにしておけばよかったんじゃないかと。
短歌を読んだときは直感的に桝野さんというか主人公の男の側に共感したんだけど、
小説を最後まで読んだら、この男、やなやつだな、と思ってしまったので。
でもまあ、こういう小説を書かずにはいられなかったということもなんとなくわかるし、
それだけ傷も深かったのだろうな、と思う。


なんとなく憂鬱になってしまったので、
明日からの携帯本は、気分を変えて、『英仏文学戦記』と『文学のレッスン』という対談本2連発。
夏風邪をひいたらしく、鼻がぐしゅぐしゅし、くしゃみがとまらない。
恒例の沖縄旅行の前に治さないと〜。