ブックファースト新宿店に行ってみた

午後5時、「今週末は、土曜日出勤、日曜日法事と、いまひとつぱっとしないなあ」と思いながら、
中央線に揺られていた。
四谷あたりで同居人が、「古本市やってたから新宿で降りようか」と言った。
かなりくたびれていたのでどうしようかと思ったけれど、
このまま仕事仕事の毎日に戻るのもどうかと思い、新宿で下車。
古本市をやっていたという西口の広場へ。
ああっ。なんと、片付けが始まっている!!
貼ってあるポスターを見ると、最終日は4時まで、と書いてある。しょんぼり。
で、まっすぐ帰るのもしゃくなので、
最近オープンしたという、ブックファースト新宿店に行ってみた。


これが、大正解!!
すごいな〜。2時間くらいいて、文芸書を中心に見ていたのだけれど、
池袋や新宿のジュンクに匹敵する品揃え。
ここのところ忙しくてあまり池袋や新宿、神保町などの大書店に行ってないせいもあるかもしれないけど、
ああ、世の中にはこんなにいっぱい、おもしろそうな本があって、
わたしを待っていてくれるのね、と思ったら、もう、うれしくて。
だって、英米文学の棚だけで、4棚もあるの。外国文学のコーナーは例によってガラガラだったから、
あっという間に減らされちゃうかもしれないけど、
とにかく現時点では、ゆったりたっぷり、あ、こんな本まで、という発見も。
文芸新刊のコーナーも海外文学が別枠になっていて、初刷り2000部くらいかな、という感じの
マイナーっぽい本も、ちゃあんと置いてあって感激した。


文芸コーナーを眺めたあとにゆるゆると文庫のほうへ向かうと、
それまで文庫コーナーを歩いていた同居人に遭遇。
さっきまでの疲れた表情はどこへやら、若者のように目がきらきらと輝いている。
本屋さんって、なんて人を幸福にするところなんだろう。
読みたい本がありすぎて、時間が足りない。会社なんかに行ってる場合じゃない、という気持ちになってくる。
(いや、もちろん、行きますよ、会社には。はい。)


あれこれ迷った末に購入した、今日のいちばんの収穫本はこれ。

アーサー・ウェイリー?『源氏物語』の翻訳者

アーサー・ウェイリー?『源氏物語』の翻訳者

4000円もする本だけど、目次を見ていたら、本のほうがわたしに、
「これはお前がぜったいに読むべき本だ」と話しかけてきた。
10分くらい立ち読みして、「やっぱり、これは買わなくちゃ」と決意。
会社でどんなに嫌なことがあっても、
不本意な仕事をしなくちゃいけなくても、
家に帰ってきて、こういう本を読めば、なんというか、心が荒まないですむんじゃないか、という気がする(ちょっと大げさ)。


2時間前とはずいぶんちがう気分で新宿駅に向かう。
いつものように「何買ったの〜?」と同居人に聞いたら、彼も同じ本を買っていた。
ひとつの家に4000円の本が2冊。まあ、いいんじゃないかな、それも。


ブックファースト新宿店は、西口から地下通路を通って行けるし、
文芸書のコーナーが入ってすぐのフロアにあって、便利。
夜10時まであいているらしいし、これから時々寄ってみようっと。


ちなみに、吉祥寺の駅ナカ書店も、ブックファーストに変わるらしい。
前の書店にお別れを、と思って土曜日に寄ったら、
もう少しずつ棚の整理を始めている様子だった。
土曜日にここで「水声通信」を購入。特集はカズオ・イシグロ
まだちゃんと読んでいないけれど、書き手が小池昌代をのぞいて全員、英文学・文化を専門とする学者さんたちというのが、
ちょっとどうかな、と思った。せっかく「一般読者向け」の雑誌なのに、これじゃ「英語青年」みたいだ。
いまや海外文学を一般読者向けに語ってくれる「文芸評論家」は、いなくなってしまったということか。
カズオ・イシグロの名翻訳者、土屋政雄さんは、職人肌だからこういうのは書きそうにないし、ね。


月曜の朝が来るのがいやで、ついつい夜更かししている。
でも、もう寝なくちゃ。
明日の夜、「アーサー・ウェイリー」を読むのを楽しみに。