ドリス・レッシングのことなど

ドリス・レッシングがノーベル文学賞を受賞した。
先週は日帰りの京都出張があったり重要な編集会議があったりして、週末にはかなり疲れがたまっており、
金曜日はニュースも見ずに出社。ノーベル賞の発表があるなんてことも忘れていた。
金曜日の午前中、同居人がメールで知らせてくれて、びっくり。
個人的には好きな作家なのだけれど、ノーベル賞をとるほどメジャーではないと思っていたので。
(でも実は、これまでにも何度も候補になっていたらしい)


で、この週末の文学系のブログはその話でもちきりかな、なんて思っていたら、
案外、いつも読んでいるブログにはほとんどレッシングの話題が書かれていない。
やっぱり、あんまりメジャーじゃないのかしら……そりゃあ、そうだよね、翻訳があまりない。あっても絶版。
わたしは福武文庫の『一人の男と二人の女』と、新潮文庫の『破壊者ベンの誕生』だけ読んだのだけれど、
(あと、『20世紀イギリス短篇選』の中に「愛の習慣」という短篇が入っていた)
それぞれかなり作風が違うのに、どれもすごくおもしろくて、
「あ、波長が合いそう」と思った。
行方昭夫さん、上田和夫さん、小野寺健さんと、今思えば、訳者にも恵まれていたのだと思う。
(読んだ当時は、あまり翻訳者のことなど知らなくて、何も考えなかったけれど……)

一人の男と二人の女 (福武文庫)

一人の男と二人の女 (福武文庫)

破壊者ベンの誕生 (新潮文庫)

破壊者ベンの誕生 (新潮文庫)


代表作と思われるThe Golden Notebookの翻訳『黄金のノート』を読みたかったのだけれど手に入らず、
原書にチャレンジするだけの根性もなく、それきりになっていたある日、
どこかの古本屋で同居人が見つけ、「絶対、買っておくべき」と強くすすめられて、
市川博彬訳『黄金のノート』を、たしか1500円くらいで購入した。

黄金のノート―Free women (1983年)

黄金のノート―Free women (1983年)

この本は、時々、「読もうかな」と思ってひっぱりだしてきたりはしていたのだけれど、
何しろ分厚い。664ページ、2段組!
いつかじっくりと読書できるときに……と思いながら、未読のまま今日に至っている。
今回の受賞を記念して、よし、この大作に挑んでみるか。


うちにはもう一冊、レッシングの翻訳書がある。
山本章子訳『ラブ・アゲイン』。おおっ、これは書影が出る!

ラブ・アゲイン

ラブ・アゲイン

これも『黄金のノート』に負けず劣らず分厚いので、残念ながら未読なのだけれど、
巻末に作品リストがついているので、これからレッシングを読んでみよう、という人には便利かもしれない。
訳者の山本さんは、上記の訳者さんたちのような英文学者ではないけれど、
ビジネス翻訳やノンフィクション翻訳で十分に実績があるのに、
「レッシングを訳したい」という一心で、何年も地道に文芸翻訳の勉強を続けていた方。
どうしてそんなにレッシングにこだわるのかは聞かなかったような気がするけれど(聞いたけれど忘れてしまったのかもしれない)、
この訳書が出たときには「夢がかなった」と言ってほんとうに嬉しそうだったのを思い出す。
この本も、「読まなくちゃ」と思いながら、ついつい後回しになっていた。『黄金のノート』の次にチャレンジ、かな。


でもでも。古典新訳文庫が、また出てしまったよ〜。
O・ヘンリーは早く読みたいなあ。
カバンの中のヘミングウェイをどうしたらいいんだろう。
スタンダールは下巻が出てから読むにしても、
ティーブンスン、ロンドン、カフカがたまってる。あ、フロイトも。
月末の読書会に向けて、児童書を3冊、読まなくちゃいけないし……。
おーし、今週は「読書週間」にするぞ!