あけましておめでとうございます

数ヶ月ぶりのブログ更新。ちゃんと生きてます。とはいえ、この数ヶ月、例年どおり地獄の校了前ピークが訪れ、年末も12月29日まで、土日も含め無休で毎日深夜残業の日々を送ってました。12月は外国文学関係のイベントで行きたいものがいくつかあったのだけれどすべて断念し、ほぼ終日、黙々と原稿&ゲラと向き合い、時折、原稿の遅れている著者に電話をして脅したりなだめすかしたりして自己嫌悪に陥ったり、という、かなり地味、だけどハードな毎日だった。これが今月後半まで、さらにパワーアップして続くのだ。まもなく人生初の入院&手術という恐ろしい事態が待っているのだが、頭の中は入院の準備などということよりも、入院の前になんとしても今もっている仕事を終わらせねば、校了にしなければ、ということでいっぱい。テニスで鍛えたこの体が、なんとかもちこたえてくれることを祈るばかり。


さて、年末はそんなふうでとても忙しかったのだけれど、通勤時間やすきま時間を使って少しは読書もし、結構「あたり」な感じの年末だった。昨年のエントリーのあとに読んだ本の中で、印象に残っている本のタイトルだけ、記録のために挙げておく。明日あさっても休みなので、時間を見つけて2012はさぼってしまった年間ベスト2013を、選んでみるつもり。今日のところは年末の読書の備忘録。

魔法の樽 他十二篇 (岩波文庫)

魔法の樽 他十二篇 (岩波文庫)

私のなかの彼女

私のなかの彼女

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

番外編で、雑誌も一冊。蓮實重彦の「『ボヴァリー夫人』論」が非常に刺激的だったので。
新潮 2014年 01月号 [雑誌]

新潮 2014年 01月号 [雑誌]

あらあ、忙しかったというわりには、結構読了本があるな。考えてみるとほとんどの本を、病院の待合室で読んだのだ。少なくとも自分自身については、病気や病院とは無縁な人生を送ってきたので知らなかったのだが、病院という所は、沖縄の海辺と同じくらい、読書がはかどるということがわかった。時に膨大な時間をつぶさなくてはいけないのに、テレビはないし、携帯の使用も禁止。発想の転換をして、これは神様がわたしに与えてくださった読書の時間なのだ、と考えることにしたら、選ぶ本選ぶ本おもしろくて、ご覧のとおりびっくりするほどノンジャンル、典型的な乱読だけど、自分としてはかなり幸福な読書時間を過ごすことができたのだった。だから、地獄の校了を終えて、晴れて(?)入院するときには、選りすぐりの本を鞄にいっぱい詰めて、夢の読書三昧の日々を過ごすのだあー。


そうだ、年越し本は、野崎歓『フランス文学と愛』。評論は苦手だと思ってたけど、先述の蓮實重彦がなかなか面白く読めたので、あ、わたしもしかして少し文芸評論読めるようになったかも、と期待して、憧れの野崎さんの本を昨日から読み始めた。うん、ちゃんと最後まで読めそう。そういえば子どもの頃、「少年少女世界文学全集」みたいなのが大好きだったけど、とくにフランス文学の巻が好みだったと記憶している。「ガルガンチュワ物語」とか、「シラノ・ド・ベルジュラック」「椿姫」とかが入っていた。「十五少年漂流記」も「ああ無情」も「モンテ・クリスト伯」もフランス文学だなー。大人になってからは、それこそ「ボヴァリー夫人」とか「赤と黒」とか「マノン・レスコー」とかを、むさぼるように読んだ。外国文学も、日本文学も、外国のジャンルフィクションも、日本のエンタテイメントも、面白いものは面白い。この世にはこんなにたくさん面白い本があって、それを紹介してくれる本や雑誌や新聞、最近はイベントやブログ、ツイッターなんかもあって、本をめぐる世界は、実はかつてない活況にあるのかもしれない(……って、年末に読んだ『本の逆襲』の受け売り〜)。