「花々と星々と」読了
明治生まれの祖母がなくなり、祖母が生きた時代のことをぼんやりと考えた。
それで、出張に持っていく文庫本として、犬養道子『花々と星々と」を選んだ。
- 作者: 犬養道子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: 文庫
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とてもよかった。
こういう年配の女性が書いた上質のエッセイを、うちでは「おばあさんエッセイ」と呼んでいる。
須賀敦子、武田百合子、幸田文、向田邦子、……。
こういうエッセイの共通点は、日常生活の細かなことを書いているだけなのに、
周囲の人々に対する愛情が、じわじわとにじみ出てくる、ということだ。
家族や友人をほめたたえているわけではなく、ときにはマイナスの面も含めて描写しているのに、
そんな弱点や欠点も含めて周囲の人を受け入れ、生きてきたおばあさんたち。
そのあたたかさと誇り高さと、そしてそこはかとなく漂う孤独感が、ぐっとくる。
先日なくなった祖母より一回り年下の犬養さんのエッセイを読みながら、
祖母の家の大きな書棚や硯箱、お茶の匂いを思い出した。
携帯用のパソコンで書いているので、どうも調子が出ない。
さっきから書いては消し、書いては消し、で、全然進まない。
営業活動をしていると、どんどん言葉が軽くなっていく感じがする。
同じような説明を繰り返すうちに、言葉が脳を通過しないで口から出ていくような、
心のこもっていない、調子のいい言葉を並べているような気がする。
自分の中の語彙がどんどん貧弱になっていく感じだ。
うーん、どうもマイナス思考だな。こういうときは、さっさと寝たほうがいいのかもしれない。
あるいは、少し本を読んでから寝るとか?
ただいま読書中の本は、『シェイクスピア&カンパニーの優しき日々』。
読み始めたばかりだけれど、なかなかおもしろそうだ。