サリンジャーのことなど

今日は終日、クミアイ活動で外出。帰宅してブログ散歩をしていて、
サリンジャーが亡くなったことを知った。91歳、とのこと。


これからいろいろな人が新聞などでコメントを出すのだろうが、
わたしはいつも見ているブログの記事に、いたく心を動かされた。
これ以上のコメントはたぶん新聞などでも出ないんじゃないか、ってくらい、感銘を受けたので、
人のブログ記事を引用する(トラックバックっていうのかな?)ことはめったにないんだけど、紹介してみる。


http://plaza.rakuten.co.jp/professor306/diary/201001290000/


大学のブンガクの先生に、こういう方がいるっていうのは、
やっぱりすごくいいことなんじゃないか。
ブンガクなどというのは、こんなふうに、ある時期ものすごくいれこんだり、ふとさめてしまって「卒業」したり、
でも、なんともいえない甘美な思いとともにずっと特別な存在だったり、と、
まるで恋愛のような付き合い方をするものだ。
ああ、なんか苦手、とか思いながらずるずるとひきずられたり、
自分だけがひそかに良さがわかってると思ってたのに、他人が「いい」と言うのを聞いたらとたんに色あせてみえたり。
まさに、恋愛そのもの。
上で紹介したブログの先生も、「他人には生半可な批判はさせない構えでございます」って、相当な惚れっぷり。


こういうブンガクとの付き合い方を、すべての人がするべきだ、とは、もちろん思わないけれど、
高校生や大学生くらいのときに、そういう世界もあるんだ、ということくらいは、
なんらかの形で知ることができたらいいなあ、と思ったりもする。


ちなみに、わたし自身について言えば、サリンジャーとは不幸な出会い方をした。
高校生のときに、『ライ麦畑でつかまえて』を野崎訳で読んだのだけれど、文体が鼻について、最後まで読めなかったのだ。
ところがイギリスに短期留学していたとき、ステイ先の家で暇つぶしにペーパーバックで読み、
うわあ、こりゃ、こんなにおもしろかったのか、と思った。と、同時に、もっと若いときに読めばよかった、とも思った。当時、24歳。
以後、『ナインストーリーズ』も『フラニーとゾーイ』も読んだし、村上訳のライ麦も、柴田訳の『ナイン・ストーリーズ』も一応、読んだけれど、
いまひとつぴんとこないまま、終わった。
でも、今も「高校生にすすめる海外文学」といわれたら、きっとサリンジャーの「ライ麦」をあげるにちがいない。
今なら、村上春樹訳か。でも、できれば英語で読んだほうがいいね。