ビジネスパーソンに不可欠な能力

伝える力 (PHPビジネス新書)

伝える力 (PHPビジネス新書)

95パーセント仕事がらみで購入、読了。
著者の池上さんは、わたしの現在の仕事からすると、「知らないなんてあり得ない」人らしい。
ところがなぜか、恥ずかしながらわたしは、この方を知らなかった。
周囲が「池上さん」と言っているのを聞いて、池上嘉彦さんのことを言っているのだと勝手に思い込んでいたようだ。
池上彰さんは、「週間こどもニュース」というテレビ番組で長く「お父さん役」をやっていたとのことで、
「テレビ」×「子ども」という、わたしの苦手ネタが重なった、ということもあるのだろう。
とにかく、わたしはこの有名な人のことをまったく知らず、
仕事上の必要に迫られてあわてて上記の本を購入した、というわけだ。
(結局、いろいろあって「仕事上の必要」はなくなってしまったのだが)


さて、この本。
「現代のビジネスパーソンに不可欠な能力といえる『伝える力』をどうやって磨き、
 高めていったらよいのか。その極意を紹介する。」
と書いてある。ふう。これだけで、もうすでにくたびれてきた。
目次をひらく。
第1章 「伝える力」を培う
第2章 相手を惹きつける
第3章 円滑にコミュニケーションする
……以下、同様の章立てがつづく。
小見出しはたとえばこんな感じ。
「謙虚にならなければ、物事の本質は見えない」
「自分のことばかり話さない」
「会議では一人ひとりの目を見ながら話す」
「叱るのは『一対一』が大原則」
……等々、「ビジネスパーソン」にとって「すぐに役立」ちそうな項目がずらりと並ぶ。
本文を読んでみた。
さすがに「売れる本」の著者はちがうな、と思ったのは、
ありきたりのことを言っているのに、それなりに文章で「読ませる」ということ。
例の出し方やポイントのまとめ方が、明らかに想定読者(「成功」したい「ビジネスパーソン」)を意識している。
逆に言えば、「成功」する気のない「売れない編集者」にとっては、
書かれていることはあまりに当たり前すぎて、書き方もあまりにストレートで、
電車の中でとばし読みをするにしても、ちょっと内容が軽すぎるかな、というのが、正直な感想。
たまたま同居人が同じようなテーマの新書を読んでいて、
これがものすごくおもしろそうなので(でも、「ビジネスパーソン」向きじゃないし、「役に立ちそう」な気配はない)、
同居人が読み終わったら借りて読むつもり。


そういえば、この池上さんの本では、「文章力をアップさせる」という章の中で、
ブログを書くことを奨励している。


   「他者の刺激を受ける」という意味では、ブログも励みになるかもしれません。
   ブログは誰かに読んでもらうことを前提に書いているからです。その意味では、日記や備忘録とは
   持つ意味が決定的に異なります。(135ページ)


   私もいろいろな人のブログを読みますが、読むに耐えないブログが多い中で、
   時々鋭い意見に感心させられるブログにも出合います。(136ページ)


別に「文章力をアップさせる」ためにブログを書いているわけではないけれど、
たしかにこのブログを書き始めてから、
本を読むのでも講演を聴くのでも、「あとでブログに書かなくちゃ」と思うから、
これまでよりはいくぶん、頭を使って能動的に読んだり聴いたりしているような気はする。
ただあんまりがんばりすぎると続かなくなるから、
やっぱり「○○のため」とかいうより、自分の気晴らしのために、
そのとき思ったことを(多少論理性に欠けてはいても)つらつらと書いてだらだらと続けていこうと思う。


さて(←この言葉は避けたほうがよい、と上記の本には書いてあったっけ)、それではレッシングの続きを。