重松清『カシオペアの丘で(上・下)』

カシオペアの丘で(上)

カシオペアの丘で(上)

カシオペアの丘で(下)

カシオペアの丘で(下)

読了。
ここのところかたい本が続いたので、息抜きにベストセラー小説でも読もうかと久我山啓文堂をのぞく。
佐藤多佳子『一瞬の風になれ』とこの本とで迷った末、こちらを購入。
作家としては重松より佐藤のほうが好きなのだけれど、なんとなく気分的に、高校生ものはパスかな、と。
で、「啓文堂のおすすめ!」と大々的に売り出していた本書を買う。


読了後の感想。これ、反則だよ〜。
昨夜、11時半から読み始めて、どうしてもやめられなくて、気がついたらなんと4時!
行きの電車の中、昼休みと読み続け、昼休みをちょっぴり勝手に延長して、読了。
もう、涙涙涙。このストーリー、この設定で、泣かないほうがおかしい。
こんないかにもってカンジの話の展開にひきこまれてたまるかー、と思っていたんだけれど、
さすが重松清、「泣かせるツボ」を心得ているし、登場人物のキャラクターや小道具など、細かいところまで行き届いている。
肺癌の闘病の描写がものすごくリアルで、身近にそういう人がいたのか、あるいは相当取材をしたか、どちらかだろう。
ここのところ「国語教科書御用達」みたいになっていたから、ちょっと敬遠していたんだけれども、少し、見直した。


『挟み撃ち』もそうだったけれど、40歳くらいになると、過去を振り返りたくなるものなのかもしれない。
自分が生まれ育った家族と、自分が選んでつくった新しい家族と、どちらもそれぞれ20年くらいずつ過ごしてきて、
いろいろ考えるときなのかもしれないなあ。


さて、次は古典新訳文庫を読まなくては。
いま、仕事の関係で、ある児童文学作家の作品を片端から読んでいる。
これが、驚くべきことに、まったく飽きない。
児童文学を読んでいるときに時折感じる、「イライラ感」もない。
これはたぶん、作者と波長があう、ということなのだろう。
7月はいよいよ、ドストエフスキー月間。
日中は某児童文学作家を読み、夜はドストエフスキーを読む。
うーん、なかなかいい組み合わせなのでは。