古典新訳文庫『ジュリアス・シーザー』

ジュリアス・シーザー (光文社古典新訳文庫)

ジュリアス・シーザー (光文社古典新訳文庫)

読了。ちょっとここのところあちこち浮気していたけれども、
今日の行きの電車の中で、やっと読了した。
飯田橋で電車に乗ってきた同僚が、声をかけようと思ったのだけれど、
あまりに熱心に本を読んでいたので声をかけそびれた、とのこと。
はい。最後のあとがきのところを読んでいて、なんとか水道橋に着く前に読み終わろうと、
必死になっていたところでした。


やたら有名な「ブルータス、お前もか」の場面が、意外にあっさりと出てきて、
あれえ、シーザー、もう死んじゃうのー?と思ったのだが、
いやはや、その後のブルータス&アントニーの演説の場面を読んで、納得。
そうか、『ジュリアス・シーザー』という戯曲のほんとうの山場は、こっちだったのね……。
で、巻末の安西さんの解題を読んだら、どうやらそれは常識だったらしい。


とにかくここは、お芝居を見てみたい。
ローマ市民がシーザーからブルータスへ、そしてアントニーへと心移りしていく様子が、
滑稽に誇張されているんだけれどもなんとも言えずリアルで、
読んでいると自分もその場にいて、民衆といっしょに動揺しているような気分になる。
ビジネス書で「説得力ある話し方」のお勉強をする暇があったら、
この両者の演説を熟読したほうがよっぽどいい。


リア王』同様、安西さんの翻訳がすばらしくて、
早稲田での古典新訳文庫のセミナーで安西さんがおっしゃっていたあれこれを思い出し、
お芝居の翻訳っていうのは、すごいものだなあと嘆息。
(いろいろな種類の翻訳を仕事でやったけれども、
戯曲の翻訳というのは、まったく経験がない。)


ふふふ、この感動を胸に、明日は明治大学にてシェイクスピア祭。
講演者は、安西徹雄さん。できすぎ。