詩人と話す

先日、仕事を通じてある詩人とお話をする機会があった。
詩や絵本の翻訳なども手がけている方で、
とても気さくなお人柄だったので、つい話はあちらこちらへ脱線。
ことばに対するこだわりかたがやはり半端でなく、
にこにこしながら、びっくりするようなブラックな冗談を言ったりするので、
なごやかな雰囲気とはうらはらに、心地よい緊張感を味わった。


なぜことばを学ぶのか。
母国語の場合は。
外国語の場合は。
学校教育では。
社会が求めていることは。


こんなことを話している中で、彼がふっと疲れたような、一種のあきらめのような表情をみせたように思った。
 そんなこと話したくないよ。
 ことばってそういうものじゃないよ。
もちろん彼は先に述べたように、とても人当たりがよく社会性のある人だったので、
そんなことは決して口にしないのだけれど、
なんとなく、そんなふうに思っているような気がした。
(……と、わたしが思い込みたかったのかもしれない。)


昨夜、ビデオで「運動靴と赤い金魚」を観る。

運動靴と赤い金魚 [DVD]

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名作とは聞いていたが、予想以上によかった。
ひどく疲れていたので、途中で眠くなるんじゃないかと思っていたが、
観終わったら疲れがとれたような気がした。
主役の男の子も妹も、ことばが下手で自分の思いをことばにすることができなくて、
でも、子どもなりに一生懸命、まわりに人のことを考えて行動している様子がたまらなくいとしい。
ラストの金魚の場面は、ちょっとあざといような気がしたけれど、
とにかく全編を通じて映像がすばらしい。
イラン映画はこれまでにも何本が観て、それぞれにかなりよかったけれど、
やはり、この作品は飛びぬけて秀逸。