古本を売る

退職を機にいろいろ新しいことをやろうとしていて、その中のひとつに、一箱古本屋さんみたいなことをはじめようとしている。実際にはじまったら少し詳しく書こうと思うけど、いまのところはまだ雲をつかむような話なので、とりあえず概要だけ。

 

これまでブログやツイッターを継続的に追いかけていた人たちの中に、一箱古本屋さんのような活動をしている人が結構いた。なんだか楽しそうだな、と思って、そういった一般の人が出店する古本市のようなものに出かけていったこともある。ただ、会社勤めのころは土日に仕事が入ることが多かったので、先の予定がたたず、自分が出店することはあきらめていた。

 

ところが退職してすぐ、神保町に共同書店をオープンするので棚主を募集する、という話を耳にした。神保町に定期的に通う場所ができるというのはいいんじゃないかな、と思い、退職後の方針「面白そうだと思ったらとりあえずやってみる」に則り、応募してみたのだ。

 

無事、棚を確保し、3月から出店できるとのこと。そこで、はたと考えてしまった。わたしは、どんな本を出店すればいいのだろう。

 

これまで近所のブックオフに本を売ったことはある。ただそれはすべて、一度読んで、もういいや、と思った本、購入したものの、一生読みそうにないと思った本、などだ。ジャンルでいうと、ハウツー本や、一時的に話題になったベストセラー、著名人のエッセイ、時事的な新書などがほとんど。ごくまれに、大好きな作家の小説なのに全然おもしろくなかったものなどを、腹立ち紛れに売っぱらったこともあることはある。けれども、自分が読んで面白くて、ああ、この本をみんなに紹介したい、多くの人に読んでほしい、と思った本は、やっぱり自分の本棚に大事にしまいこんでしまうものだ。ブログやツイッターで、面白かった! 名作だ!と書くことはするけれど、共同書店で値段をつけて売りましょう、という気にはならないように思う。

 

とはいえ、神保町の共同書店の棚主なのだ。それはやっぱり、お、というような本を並べたい。自分がいらなくなった本を売るのではなく、自分にとって大切な本、おすすめの本を並べて、1冊でも2冊でも、誰かの目に止まって手にとってもらえたら嬉しい。そう考えると、どう考えても、同じ本をもう一冊買って、それを共同書店で売る、という流れになるような気がする。しかも絶版本以外は定価で売りたい。というか、定価で買ってもらいたい。わたしは新刊で入手可能な本は古本屋さんでは買わない主義なので、その方針は売る側になっても守りたい。

 

こんなふうに考えていくと、どうもこの共同書店というのは、本を売る場所というより本のディスプレイを楽しむ場所、ということなのかな、と思ってきた。自分が会社員編集者だったときに担当した本を並べるというのもありだなと思うけど、これも別途新刊を購入し、定価で売る、ということになりそう。かくしてわたしの棚主デビューは、自らの商売下手を露呈し、月会費その他の費用ばかりが積み重なるというほろにが体験になりそうだ。

 

とにかく自分の商売とは関係なく、この神保町の共同書店には、読者として半端ない期待を寄せている。たとえば月に1回、自分の棚を入れ替えて、そのたびに何冊か、ここの棚から本を買う、なんてことを考えただけで心がはずむ。

 

今日の運動は、筋トレ30分、トレッドミル30分。以上。(このままでは痩せない)