昭和な喫茶店のホットケーキ

今日は税務署に「開業届」を出しに行った。ネットで必要事項を入力するだけで簡単に申請用紙の準備ができる。プリントアウトしてマイナンバーを記入し押印すればOK。なんて簡単なんだーと感動しつつ、ちょっと不便なところにある管轄の税務署へ。都会のど真ん中なのに昭和な風情のある商店街を抜け、住宅地をトコトコと歩いた先に税務署はあった。予想に反してガラガラで、そのへんにいた人に「開業届を出しにきたんですが」と言ったら、「あ、じゃ、そこの窓口に出して」と言われて、あっという間に受領。なんて簡単なんだー。まあ、考えてみれば開業の届を出しただけで、実際に確定申告だのなんだのという面倒な作業はこれからだからね、よくわからないけどちゃんと領収書をとっとくとか、カードの支出の内訳を控えておくとか、いろいろ、気をつけないと。約20年ぶりのフリーだから、いろいろ忘れてる。

 

もう3時だというのにお昼を食べていなかったので、駅近くの古いビルの2階のある喫茶店に入った。みるからに、古い。カウンターの中には疲れた感じの中年の女性がいて、そこそこ広い店内には常連らしきおじいさんと年齢不詳な感じの女の人がいるだけ。常連のおじいさんはちょっとぼけているらしく、大きな声で何度も同じ話を繰り返している。ママさんはへーそうなの、それで、まあ、大変ね、と、適当に受け流している。

 

ホットケーキとコーヒーを注文した。美味しそうな匂いがしてきたので、そろそろくるかな、と思ったけど、なかなかこない。ずいぶん待ったところへ、おばさんがやってきて、「ごめんね、おばさんホットケーキ焦がしちゃって、失敗しちゃったからやり直ししてるの、もうちょっと待ってね。しかも、2枚重ねじゃなくて、1枚の大きいのにしたから。味はおんなじだからね」という。急いでいるわけではないので、「あ、だいじょうぶです、まってます」と返事をして、さらに数分、辛抱強く待って、やっとでてきたホットケーキは、たしかに2枚重ねじゃなくて1枚の大きなお好み焼きみたいなものだった。たっぷりバターをぬって、シロップをかけていただいた。子供の頃、家で焼いたホットケーキミックスを使ったホットケーキの味。たしかに、見た目はともかく、味は悪くない。コーヒーは相当美味しい。西日のあたる商店街をながめながら、この30年ほどは、ずいぶん一生懸命仕事をしてきたなあ、これから先は、どんなふうに仕事をしていくことになるのかなあ、と感慨にふけったりした。

 

吉祥寺に戻り、ヨドバシでairpodsを買い、ジムに行く。昨年末から通い始めたこのジムは、24時間営業の年中無休、月会費が安いのが売り。サウナやお風呂はないし、レンタルタオルすらないので、毎日通っていると洗濯物がどんどん増えてたいへん。でも、「部活と同じ、毎日やるもの、休むのは体調が悪いときだけ」というマイルールが案外わかりやすく、自分には合っているようだ。NetFlixでエノラ・ホームズを最後まで観た。原作がYAと聞いてなるほどと思う。10代の女の子たちを励ますような冒険物語で、本家ホームズとはずいぶん異なる価値観でつくられている。

 

フェミニズムとの付き合い方については完全に自信喪失しているので、ちょっと書きにくいんだけど、ここはツイッターじゃなく個人ブログだし、そんなに大勢の人が読んでるとも思えないので笑、少し書いてみる。熱血運動少女だったので、はじめてフェミニズムらしきものに触れたと実感したのは、大学4年のとき。「オゾン・イングリッシュ・セイ」という、表参道にある謎の英会話学校に通っていたのだけれど、そこにリン先生というショートカットの素敵な先生がいた。たしか、印象的な自己紹介をする、というような内容のレッスンで、I'm〜.という形で自分を表現しましょう、ということになった。そのとき、リン先生は、じゃあ、私が最初に、と言って、I'm independent.と言ったのだ。今なら誰も驚かないだろうけど、1980年代の日本の英会話学校で、若く小柄な中国系アメリカ人女性がこう言ったとき、その場にいたほとんどの人が、キョトン、としていたのをよく覚えている。でもわたしは、かっこいいなあ、と思った。ただ、自分もそう言えるようになりたい、と思うまでには、まだあと何年もかかったし、いろんなことを経験する必要があったけど。

 

うーん、こんなことをダラダラ書いているのは、間違いなく今読んでいる本の影響だ。評論家というのはほんとうにすごいなあ、と思いながら読み進めている。わたしの中にぼんやりあったもやもやした思いというか、思念、妄想、感情のかたまり、などと同種のものを分析して、あの手この手で言語化してくる。わたしは評論には昔から苦手意識があるのだけれど、すぐれた評論は、「そうそう、それが言いたかったの」と思わず言いたくなるような書きぶりで、論じられている対象の作品やジャンルについてあまり詳しくなくても、面白く読めてしまうものなんだなーと改めて思う。

 

さて、では今日はもう寝ます。読書中の本、小谷真理『性差事変』、視聴した映画、『えノーラ・ホームズの事件簿』。運動は、外ウォーキング20分、ジム筋トレ30分、トレッドミル40分。