2014年読了ベスト本

晦日の今日は、朝から近所のスーパーに買い物に行き、午前中はお掃除、午後はおせち作りと大忙し。でも、我が家は料理に関しては完全に2馬力なので、お重3つ分のお料理がわりと短時間でできあがった。あとは下ごしらえしたブリを焼くだけ。夕食は妹の旦那が贈ってくれた、鹿児島の旭蟹と福井の蕎麦。紅白を見るともなく眺め(同居人は一瞬だけ、ものすごく集中して観て)、平和に平凡に、2014年が暮れた。


さて、2014年の読了本。びっくりするほど数が少ない。考えてみると2014年は、自分にとって「事件」の多い年だった。まず、1月の入院・手術。4月の異動。入院中は「本を読むぞー」と意気込んでいたんだけど、予想以上に手術がおおごとで、とても本なんて読める状態じゃなかったという誤算。異動後は仕事内容も一緒に仕事をする社内外の人も一変したので、慣れるまでかなりドタバタした。ゆっくり好きな本を読むというより、英語の本も含め仕事で急いで読む本が増えた。でも、それはそれで悪くなかったな、と思う。これまで知らなかった世界に、ちょっとだけ触れることができたわけだから。


ということで、2014年の読了本は、いつもの年よりノンフィクションが多かったけど、やっぱり振り返って「いい本だった!」と思うのは、文学作品が中心。とくに今年は、オールタイムベスト10に入るんじゃないか、ってくらい好きだった本があって、これが2014年のベスト1。

ストーナー

ストーナー

「奇想天外」とか「大ロマン」とか、そういうのも悪くないけど、やっぱりわたしはこういう静かな小説が好きだ。「だめ男小説」とも言えるのかもしれない。ストーナーのような男を、だめ男と呼んでいいのかどうかわからないけれど、あまり要領がよくなくて、世間的な成功や財産に無縁な人生を送ったということでは、まあ、だめ男と呼んでもいいのだろう。もちろん、愛情を込めて。そして、1960年代に書かれたこの作品が、いま再評価されて、それが名翻訳家の目に留まり、彼の最後の翻訳作品として読者の手に届けられたという奇跡。


以下、順不同でフィクション2冊、ノンフィクション3冊。

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

バニヤンの木陰で

バニヤンの木陰で

信じない人のための〈宗教〉講義

信じない人のための〈宗教〉講義

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

フィクションは、微妙にテイストの似た海外文学が揃ってしまった。一方、ノンフィクションはまったく違う分野、掘り下げていけばどこまでも深い分野を、とてもわかりやすく導いてくれる優れた入門書3冊。


それから、再読だけどさすがに面白かったのは、愚かな女が主人公の海外文学の古典2冊も挙げて、今年は読了本ベスト8、ということで。

チャタレー夫人の恋人 (光文社古典新訳文庫)

チャタレー夫人の恋人 (光文社古典新訳文庫)

ボヴァリー夫人 (河出文庫)

ボヴァリー夫人 (河出文庫)


来年の1冊めは、噂の日本文学全集『古事記」に挑戦しようかな。
ともあれ、今年はブログさぼりがちでしたが、時折のぞきにきてくださった方、コメントを書いてくださった方、ありがとうございます。来年も、ゆるゆるとこんなペースで、無理せず続けていこうと思います。
皆様、どうぞよいお年をお迎えください。