明日から北陸・東海ツアー

初夏の出張シーズンがはじまっている。明日から福井、石川、愛知、岐阜とまわるのだが、なんといっても福井は遠い。家裁調査官だった妹の初任地が福井で、福井で結婚式もしたので、自分としては愛着があるのだが、なにしろ遠い。しかも、福井から石川はまだしも、石川から愛知がこれまた遠い。1日の仕事が終わってから移動となるので、ホテルに入るのは10時近くなってしまう。そして翌朝9時には出動。ひゃあ、身体がもつかなあ。今回売り歩く本は格別に思い入れがあるので、やる気は満々なんだけど、どうもこのごろ、目に見えて体力が落ちてきたのだ。疲れていると、自分でも信じられないようなミスをする。今日は自宅で(!)洗面所に行こうとして物置きの扉を開けてしまった。だいじょうぶか。


今週は母校の翻訳学校のパーティーがあった。幹事的なことをやっていたので何かと気を張ったけれど、なつかしい仲間に会って、先生方にもご挨拶できて、とても楽しかった。小さな学校だけれど、会場の神田マトメカフェのパーティースペースにあふれるほどの人が集まって、話もはずんでるみたいで、お開きの時間になってもみんなずっと話をしていて、あー、よかったなーと思った。先生方のお話はどれも心に沁みたのだけれど、その中でもとくに、ある先生が「読者というのは放っておけばどんどん怠けるものなので、売れ筋にこだわってわかりやすいものしか出さない出版界には見切りをつけて、自分たちで作者と読者をむすびつける方法を考えなくちゃいけない」というようなお話をしたのが忘れられない。


自分の健康に不安があったり、家族の介護をしていたり。経済的な悩みもさることながら、40代以上になると健康面での悩みがぐっとクローズアップされてくる。翻訳家は基本的には孤独な職業だから、そういう人たちの息抜きの場、心のよりどころに学校がなれたらいいな、と思う。会社の仕事はやりがいはあるし、頭の回転が早くセンスのいい若い人たちといっしょに過ごすのは刺激にはなる。でも、ちょっとだけ無理をしてるみたいで、若い人たちにも気を使わせているような気もして、なんだかくたびれてしまうのだ。会社の若い人たちみんな、大好きなんだけど、ね。


出張に持っていく本を何にするか考え中。iPadを持っていくので、退屈することはないだろうけど、出張中の移動や夜間って、すごく集中して本が読めるんだよね。(時々疲れすぎて文字が全く頭に入らないときもあるけど。)読みかけの日暮さんの本と、ヤングのたんぽぽ娘、それに、古典新訳文庫のウォー、ウェルズ、ブラックウッド、岩波文庫コンラッド、ハヤカワ文庫のグリーンと、文庫で読む英文学5連発ってのはどうだろう。うーん、日本の長編小説もまぜたいな。なんて迷ってるときがいちばん楽しい。まあ、仕事から離れてリフレッシュするためには、日本文学より外国文学、短編より長編、できれば不道徳でエロティックな小説がいいかな。


それにくわえて、事情があって少し前から、現代イギリス小説のを精読している。大長編で英語もわりと難しく、これがiPad版のKindleに入ってるので、『読む本がない」状態になる恐れはないのだ。しか〜し、営業活動と移動で疲れきったところへ、このイギリス小説の原文に取り組む気になるかどうかは、うーん、かなり微妙だ。ただ、内容はとてもおもしろく、単語の使い方など独特なので、精読のしがいがある小説であることは間違いない。「怠け者の読者」だったら、ぜったいに途中で投げ出してしまうような小説だ。


あー、気づいたらもう3時。寝なくちゃ。