いろいろ復活した

あれよあれよという間に、また20日もあいてしまった。
仕事が一段落して、会社から代休消化を求められ、せっせと休みをとっているのだけれど、なかなか自宅でパソコンの前に座る時間がつくれない。でも、たまってしまうとどんどん気が重くなるので、こまめに更新しなくちゃ、ね。


7月に入っていろいろなことを復活した。
まず、トークショー。7月3日にABCで柴田さんと都甲さんの対談があり、行ってきた。実は以前、どこかのシンポジウムで都甲さんをお見かけしたことがあり、そのときの印象は正直なところ、「柴田元幸の二番煎じ」だった。でも、いつもブログを拝読しているりつこさんが、都甲さんのトークがおもしろいと大絶賛していたうえに、「非常に男前」と書かれていたので、えー、そうだっけー、そこまで言うならちょっと行ってみようかなあ、柴田先生のトークショーも結構ひさしぶりだしぃ、と軽い気持ちで申し込みをした。


で、大正解。
だいぶ日にちが経ってしまったのでレポートとしては役に立たないと思うけれど、自分のための覚え書きってことでメモをとったことを記しておく。
・現代アメリカ文学の紹介・翻訳の世界では、柴田元幸村上春樹が昔のソ連みたいに領土が広すぎて、その他の小国が入る隙間がちょびっとしかない。(都甲)
・授業でデリーロをやって、そのときの発言ですごいと思ったのは、諏訪部、高吉、都甲。この人たちはやっぱり今も活躍しているんだよね。(柴田)
・自分(柴田さん)の上の世代は、アメリカの文壇の地図を伝えようとしていたのだが、自分たちは自分勝手にやってきた。その悪影響(?)で、都甲さんたちの世代は全体図を伝えなくては、という意識が働くのではないか。(柴田)
・「世界文学」というと、「各国の立派な代表選手たち」というイメージがあって、それに対するいらだちがこんどの本には表れている。(都甲)
・学生の頃、いちばんリアルタイムで読んでいたのは、カルヴィーノなんだよね。(柴田)
・ストーリー重視はよくない、とか、文学作品に教訓が含まれるのはだめ、というような考え方があるけれど、教訓で文学作品の価値が下がるわけではないと思う。上がるわけでもないけど。(柴田)
まあ、ほんとに雑多なメモだけど、自分のための覚え書きってことでご容赦。全体的な感想としては、今回は都甲さんという話し相手がいたことで、柴田さんの違う側面を見た、ということかな。わたしは柴田さんの紹介する本たちがどうも肌に合わなくて、いや、柴田さんは大好きなんだけど、柴田さんが訳したものでわたしが好きだったのは、ダイベックレベッカ・ブラウン、あとはメルヴィルの「バートルビー」くらいで、みんな大好きオースターなんて何度も挑戦しては挫折しているというていたらく。でも、そのトークショーの会場で柴田さんが朗読してくれた作品は、どれもしっくりきて、一方都甲さんが紹介してくれた詩は、正直、「うーん…」という感じだった。わたしは保守的というか、新しいものを受け入れるのにちょっと時間がかかってしまうタイプなのかな、と思いながら、柴田×都甲の新旧対決をおもしろく聞いていた。でも、都甲さんがミニ柴田元幸みたい、という以前の印象は、今回完全に払拭されたことは嬉しい。サイン用に購入した本も読んでみようと思う。

21世紀の世界文学30冊を読む

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さて、実はこのときのトークショーは、トークショーそのものよりも、その後の出会いのほうが印象に残ってしまって、上記のレポートはかなり一生懸命思い出しながら書いた。前述のブロガーりつこさんが会場に来ていることは知っていて、ご挨拶できたらいいなあと思っていたのだけれど、100名規模の会場は満席だったのでやはり無理だったか、とあきらめてサインの列に並んでいたとき、都甲さんが「いつもりつこさんなんだね」とおっしゃる声が聞こえ、思い切って、その方に、「あの、りつこさんですか」と話しかけてみたのだ。人違いだとかなり恥ずかしい場面だけど、なんとなく姿かたちがイメージどおりだったので確信があった。で、最初、「あの、わたし、○○です」と本名の名字を名乗ってしまったのだが、それじゃわかんないだろ、と思い直し、「北烏山だよりです」と言ったら、ああーっということになり、そのまま話は盛り上がり、さしで飲みに行ってしまったのだった。わたしは見かけによらず人見知りをするし、相手の人がほんとは嫌なんじゃないかとかやたら心配してしまうたちなので、オフ会的なものに行ったり、はじめてあった人と飲んだりということはないのだけれど、なぜかりつこさんについては迷いなく「飲みましょう」と言えたし、話していても昔からの友達みたいで、本の話はもちろんなんだけど仕事のこととか職場の人間関係のこととか失敗談とか、いろいろ話してめちゃくちゃ楽しかった。ちなみに、このトークショーの会場では、翻訳学校の仲間でいまは翻訳家として大活躍しているIさんや、同居人の同僚で翻訳家としても活躍する編集者Kさんにもお会いしてご挨拶ができて、やっぱり面倒がらずに外に出ていくことは大事だなあ、とあらためて思ったのだった。


復活したことの二つ目は、テニス〜!!
昨年暮れに断腸の思いで休会したテニススクールだが、当初予定の4月復活は難しく、営業活動が一段落した7月から再開。先週の金曜日、半年ぶりにスクールに行った。いやあ、ほんとに楽しかった。コーチもクラスメイトたちも、みんな「おかえり〜」ってすごく歓迎してくれて、なんというか、ここは自分の「居場所」なんだなあ、と実感。体力的にも技術的にも絶望的な感じだったけど(なにしろ準備体操しただけで息があがってしまうのだ)、でも、ストレス解消効果は抜群!だ。


復活したことの三つ目、「大地を守る会」の宅配〜!
週に1回、野菜を中心に注文した食品が届くというシステムで、商品の値段は割高だけど、野菜にしても肉にしても、その食品本来の味がする、ということで、今のマンションに引っ越してくる前から途切れ途切れながら続けている。妹にも紹介したら気に入って、元気な頃はせっせと注文していたようだった。わたしのお気に入りは「ベジタ」という旬の野菜と果物のセットと、びんの牛乳、卵、パンなどなんだけど、仕事が忙しくて自宅で食事ができない日が続くと、注文した食材を使い切ることができず、冷蔵庫の中で腐らせてしまう、という事態に陥り、同居人に叱られて休会する、ということを、何度も繰り返してきた。で、何度目かの「今度こそ〜」ということで、7月からまた、「大地」を復活し、野菜たっぷりごはんを実践することにしたのだ。


そのほか、この20日の間に大学時代の友人と久しぶりに会ったり、万座温泉に行ったりと、楽しくやっている。さらに、両親が来月には同じマンションの別の棟に引っ越してくることが決まった。鎌倉の実家がなくなってしまうのは少し寂しいような気もするけれど、「会おうと思えば毎日会える」距離に両親がいてくれるのは、とても有り難い。


……と、何もかも順調みたいなんだけど、実は万座温泉で朝起きたときにひどいめまいと吐き気に襲われ、その後、強力な歯痛に見舞われ、いまの会社に入ってはじめて「体調不良による突然のお休み」というのをとってしまった。内科と歯科をはしごして、めまい止めと痛み止めをもらい、翌日から出社したのだけれど、ふだん丈夫なだけに体調が悪いときの対処のしかたってのがよくわからなくて、数日間かなり鬱々と過ごした。今日は幸い、めまいも歯痛もおさまっていて、テニスをしたあとの爽快な疲れだけが残っている。これから歯医者に行って、「大地」の食材でヘルシーな夕食をつくって、夜は読書かな。うーん、すてきな一日。


この間読んだ本は、ホーソーンの『緋文字』と、小谷野先生の新刊。あれ、二冊だけか。どちらもとても面白かった。歯医者に行かなくちゃいけないので、詳しい感想は後日。(って言って書かないことが続いてるが…)