「ノルウェイの森」と「ちょんまげプリン」

昨日は湘南に行くか巣鴨に行くか迷った末、台風が接近中だから、ということで巣鴨を選択。
巣鴨といっても別にとげ抜き地蔵に行ったわけではなく、
染井霊園近くの日帰り温泉施設に行って、温泉とマッサージを満喫してきたのだ。


わたしは17年ほど前に、巣鴨に住んでいたことがある。
巣鴨の駅から歩いて10分ほど、地蔵通りを抜けて、ちょこちょこっと裏手に入ったところにある、
わりと新しいワンルームマンションで、一人暮らしをしていた。
いろいろと思うところあって、それまで暮らしていた大船のマンションを出たのだが、
何しろお金がなかったので洗濯機も買えず、しばらくコインランドリーを使っていた。
きわめて自分勝手な行動だったので親には頼れず、まあ自業自得と手洗い中心で洗濯をすませていたところ、
妹が「おねえちゃん、洗濯機くらい買いなよ」と言って、お金を送ってくれた。


17年ぶりの巣鴨は、あまり変わっていなかった。
あのワンルームマンションに行ってみようかとも思ったが、あまりの暑さに断念。
温泉と食事とマッサージを満喫して早めに烏山に戻り、TSUTAYAでビデオを借りた。
ノルウェイの森」と「ちょんまげプリン」。
いろんな意味で対称的な2本だが、あらゆる面で「ちょんまげプリン」のほうが良かった。
村上春樹の小説の中で、『ノルウェイの森』はわりと好きな作品で、
初めて読んだときの感動、感涙は、今でもよく覚えている。
それが、この映画を見る限り、えー、こんな話だったっけ? という気分が最後まで抜けず、
映画に集中することができなかった。
あのような登場人物たちに共感することができたのは、わたしも若かったということだろうか。
愛や性や死について、わたしもあんなふうに悩み苦しんでいたんだろうか。
「こちらへ踏み出してはいけない」とわかっているのに、危険な方、暗い方へと進まずにはいられない、
というような精神状態は、なんとなくちょっとはわかるような気がするけど。
一方、「ちょんまげプリン」は、ライトなエンタメコメディーだけれど、
台本がよくできているし、ともさかりえをはじめ役者がうまくて、
なかなかおもしろかった。ちょっとだけフェミも入ってて現代的。
今日、古本やで偶然、この映画の原作の文庫本を見つけた。
わたしと同い年、東大仏文科卒の作家さんだった。


明日からの通勤読書は、ディケンズ『大いなる遺産』の新訳。
楽しみだ。