人間ドック

今日は人間ドックに入るため、会社をお休み。
先月から単行本の大型企画の編集が本格化し、別のグループのヘルプに入ることにもなり、
少し忙しくなってきた。
でも、そうはいってもここ数年の働き方を思えば、いまはラクラク
太り気味であることをのぞけば(←これは大問題なのだが!!)心身ともに至極健康。
耳が聞こえなくなったり、夜眠れなくなったりと、あちこち不安だらけで、
健保のメンタルヘルス相談の電話番号をじーっと見つめていたころが、嘘のようだ。
予想どおり、人間ドックの「当日所見」も良好で、よおし、これからダイエットに励むぞお、と意気込んで帰宅。
前向きな気分のまま、アマゾンでヴォネガットの「ローズウォーターさん、……」の原書を購入してしまった。
久々の原書。読めるかなあ。


会社で、20代のアルバイト女性の机上に、田村隆一の本が置いてあったので、驚いて話しかけた。
装丁・デザインの参考のために入手したのだという。

ぼくの人生案内

ぼくの人生案内

ぱらぱらとめくっていくと、「帰途」が載っていたので、そのページを示して感想をきいた。
すると彼女は、「かっこいいですねえ」という。
「でしょ、でしょ、この詩、高校の現代文の教科書にも載ってるんだよ〜」
というと、「へえ、気づきませんでした」と彼女はいった。


この『ぼくの人生案内』という本は、不思議な本だ。
田村隆一が雑誌で連載していた「人生案内」を中心にまとめているのだけれど、
田村隆一の写真がグラビアみたいにばーんと載っていて、短いひとことがコピーのようにおどっているページがあったり、
「帰途」のような詩が、掲載されているページがあったりと、ものすごく雑多な編集になっているのだ。
にもかかわらず、本全体としては「田村隆一」という人の存在とメッセージを強力に発している塊になっていて、
ああ、この本を編集した人はきっと、田村隆一のことが好きでたまらないんだろうなあ、と思った。
国語の教科書に載っているときは素通りしても、
こういう「かっこいい」デザイン、「かっこいい」写真といっしょなら、
いままで田村隆一とは出会わなかった人たちも、「かっこいいですねえ」と出会うことがある、ということか。


そういえば最近、「うめ版 新明解国語辞典」という本が出た。

うめ版 新明解国語辞典×梅佳代

うめ版 新明解国語辞典×梅佳代

これも、若手女性写真家の梅佳代さんと、「語釈が個性的」と評判の「新明解国語辞典」のコラボレーション。
中身をぱらぱらと見てみたけれど、わたしたちが持っている「辞書」のイメージをぶっこわす、すごい企画だと思った。
もちろん、いわゆる「辞書」として機能するような本ではないけれども、
この独特のセンスの写真と見ひらきで示されることで、
「言葉」のもつパワーというか、広がりというか、奥深さのようなものに、あらためて気づかされる。


……で、田村隆一の「帰途」。
「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」だって。
あらためて、「田村隆一詩集」「続・田村隆一詩集」「続続・田村隆一詩集」をひっぱりだす。
詩集のすごいところは、こうして読み返すたびに、
以前はするりと読み飛ばした詩や詩句に、自分が立ち止まってしまうというところだ。


さて、明日は仕事関係のセミナー。週末にも仕事関係の研究大会があり、8月は結構、外出が多くて忙しい。
でも、お盆休みはしっかりとれそうなので、読書計画をたてなくちゃ。
まずは『カラマーゾフの兄弟』で止まっていた古典新訳文庫の再開。
水滸伝』も読みたいし、アマゾンからヴォネガットの原書も届くし、
同居人が「面白い、面白い」と大騒ぎしながら読んでいた本も、早く読みたいなあ。