後藤明生『挟み撃ち』
ブログを書き始めて、今日でちょうど1年。ぱちぱちぱち。
最近ちょっと更新が滞りがちだけれども、飽きっぽい私としては、よく続いたほうだと思う。
2年目の今日からは、初心に帰ってもう一度、短くてもいいからできるだけ毎日書くようにしよう。
後藤明生の『挟み撃ち』は、読了してからもう1週間近く経ってしまった。
とてもおもしろく読んで、いろいろ感想もあったのだけれど、
水曜日の読書会であれこれと話してしまったので、あまり書くことがない。
読み始めたときの私の感想は、「男っぽい小説だなあ」というものだったのだけれど、
読書会のメンバーが、「とりとめのない感じが、女性のおしゃべりみたい」と言っていて、なるほどなあと思った。
わたしはなぜ「男っぽい小説」だと思ったのかなあと考えてみると、
あまり感情の描写がなくて、やたら固有名詞が出てきて、語り手がその固有名詞にむやみと執着する感じが、
男の人独特という気がしたから、という気がする。
前回も書いたように、わたしはこの「細部に執着してぐだぐだ言う男」や、「絶妙の比喩で意地悪なことを言う男」に弱い、
という大きな欠点(弱みか……)があり、どうしてそうなんだろうと考えてみるに、
自分とはまったく正反対だから、という答えにいきついた。
読書会でも話題になったように、この『挟み撃ち』という小説は、
戦中と戦後という二つの時代の空気に「挟み撃ち」された主人公の葛藤や迷いを描いているわけだけれど、
だいたいこの、「あっちにいこうか、こっちにいこうか」と迷い、
結局「あっちにもこっちにもいけない宙ぶらりんのぼく」というテーマは、
日本の小説においては繰り返し描かれてきた世界で、漱石の『明暗』だって、三島の『永すぎた春』だって、
常盤新平の『罪人なる我らのために』だって、石和鷹の『クルー』だって、わたしの好きな小説はみんな、このグループじゃないか、とあらためて思う。
米原万里が「打ちのめされた」すごい本、丸谷才一『笹まくら』とも、似たところがあるよなあ。
さらにこれが、『外套』をはじめとするゴーゴリの作品を巧みに関係づけているからたまらない。
この優柔不断な主人公=語り手=作者?に知的な外国文学の香りがついて、
つい先日、『外套』の新訳を読んだばかりの私は、
うわあ、なんてしゃれた、ユーモアのセンスにあふれる小説なんだろう、と、
自分にまったく欠落している要素満載のこの作品に、すっかり惚れ込んでしまったのだった。
- 作者: 後藤明生,竹田信明
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いま電車の中で読んでいる本は、『しみじみ読むイギリス・アイルランド文学』。
あと少しで読み終わる。
古典新訳文庫は滞りがちなのだけれども、とりあえず6月配布分の2冊を購入。
安西訳シェイクスピアの3冊目、『ヴェニスの商人』と、
ホイットマン『草の葉』の抄訳で、『おれにはアメリカの歌声が聴こえる』。英文原典つきっていうのがスゴイ。
上の2冊は「いつ読めるかなあ〜」とページをちらちらめくってみただけなのだけれど、
これといっしょに購入したダイエット本は、1時間足らずで読了。
なかなか説得力のある本で、かなりその気になって、帰りにキャベツとドレッシングを購入。
同居人の「無理じゃない?」という冷たい視線を気にしながら、せっせと生キャベツを食べてみる。
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だがしかし、金曜日、吉祥寺の「串屋」で、なんと「串揚げおまかせコース」を食べてしまった。
意志薄弱。がっくり。